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猫はちゃんと人間の気持ちを読んでいる!という実験結果

2015 07 18 12 57 25

 

「猫の頭のなかはどんな感じ?」ってタイトルの論文(1)が、猫好きにはたまらない内容だったのでメモしときます。

 

 

これはオレゴン大学の研究で、過去に行われた「猫と認知」に関する実験をまとめたもの。猫は実験がしにくい動物で、そもそもの研究例がとても少ないんですが、それなりに科学的なコンセンサスができてきたみたい。具体的には、

 

  • 猫は思ったよりも社交的な動物:猫は単独行動が好きだと思われがちですが、実際にはそんなこともない。実際は幅の広い社会生活を営んでいて、ある者は孤独を好み、ある者は数百の猫たちとコロニーを作っていたりする。
 
  • 猫はちゃんと人間の気持ちを読んでいる:猫は気ままなイメージが強いものの、犬や鳥といった動物と同じように、ちゃんと人間と社会的なきずなを結んでいる。猫と人間の交流について調べた研究(2)によれば、飼い主の感情によって猫が微妙に行動を変えることがわかった。飼い主が落ち込んでいるときは、普段よりも人間に頭をこすりつける行動が多くなる。

 

  • 猫は数をかぞえられる:頭がいいのか悪いのかわからないのが猫の面白さですけども、少なくとも小さな数の判断はできるらしい。2009年の実験(3)によれば、猫には2つの点と3つの点の区別をつける能力があったそうな。より多くのエサをゲットするために、数の能力が進化したみたい。

 



  • 猫には時間の感覚もあるっぽい:猫の時間感覚についてはまだまだ研究例が少ないものの、5秒と20秒の違いを区別できたとの報告はあるらしい。どうやら、おおまかな体内時計は持っていて、短時間であれば時間の経過もわかるみたい。

 

  • 猫にも「対象の永続性」の能力はある:「対象の永続性」は、たとえばボールが転がって箱の裏に隠れたとしても、ボールはまだ「存在している」と認識できる能力のこと。人間の場合、生まれてすぐのころは「対象の永続性」がわからないんですが、だいたい9~12ヶ月あたりでこの能力が出てくると言われております。で、実験によれば、猫にもこの能力があるのは間違いないとのこと。うちの猫も、テレビに映ってたサッカーボールを追いかけて、液晶の裏側にまわりこんだりするんで、この説には納得であります。

 

  • 猫は原因と結果の関係を理解してないかも:2009年の研究(4)によれば、まずはヒモがついたエサを箱の中にセット。この状態で、猫がちゃんとヒモを引っ張れるかどうかを試してみたところ、ヒモが1本の場合はエサをゲットしたんだけど、ヒモが2本になった場合はとたんにエサをあきらめちゃったらしい。どうも、猫が原因と結果の法則を理解しているかは、かなり怪しいっぽい。

 

  • 猫にも認知症は起きる:人間と同じように、年齢とともに猫の認知機能も低下する。世界的に猫の寿命が長くなったせいで、認知症の発症率も高まっているんだそうな。これは脳細胞の減少によって起きるため、いまのところは診断も治療も難しいとのこと。うーん、切ない。

 

 

というわけで、思ったより猫は頭が良くて、人間の気持ちも読める生き物らしい。あんなそっけないフリして、意外と気を使ってくれてるんすねぇ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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