いつも人気者で社会的なステータスが高い人は何が違うのか?みたいな調査の話
人間社会は基本的にマウントの取り合いなわけです。ヒトの脳には相手のステータスを見積もるシステムがあって、瞬時に「こいつには有意に立てる!」みたいな判断を下すんですよ(サルとかでも同じですが)。
ただし、この社会的なステータスは状況にコロコロ変わるのが難しいところです。例えば10年ぐらい前までは「高級な車を持ってる」とか「高級な飯を食ってる」みたいなアピールでマウントが取れたんだけど、いまや金持ちアピールが完全にダサくなったのは周知のとおり。ここらへんはコミュニティによってコロコロ変わるんですよね。
が、一方では、社会が変わっても一定して高いステータスを保ち続けている人がいるのも確かであります。常に好感度が高くて周囲から敬われるような人物ですな。
この問題については昔からいくつかの研究例があって、よく言われるのは「外交的で社交的な人はステータスが安定してる」みたいな考え方です。要は人と付き合うのがうまい人は人気が安定するって話でして、「そりゃそうでしょうなぁ」って感じっすね。
ということで新しい調査(R)では、「社会的なステータスを高める要素とは何か?」って疑問をあらためて調べてくれてておもしろいです。
チームは2つの研究を行っていて、まずひとつめはコロンビアの9歳から12歳までの児童611人が対象。全員に対して、
- みんなから人気があるクラスメートは誰?
ってのを尋ねたんだそうな。要は集団内でもっともステータスが高いのは誰か?ってことですね。さらに、追加で以下のような特性を持った生徒もピックアップしてもらったらしい。
- 成績がいい人
- 運動ができる人
- 正義感がある人
- リーダーシップがある人
- 肉体的な攻撃性が高い人
- 精神的な攻撃性が高い人
- 向社会的な人(他人を助ける人)
これらの人たちを選ばせたのは、過去の研究により、いずれの特性も集団内の人気レベルと関係があることが分かってたからです。「攻撃的がある人が人気なの?」と思われた方もいそうですが、大人の社会でも、他人を口汚く罵るような人に一定の指示が集まるのはありがちな現象じゃないでしょうか。
でもって、すべてをひっくるめた上で、社会的なステータスともっとも関係があったのは、
- 一緒にいて楽しいかどうか
だったそうです。「この人と遊ぶと楽しい!」と思われる人ほど周囲から好かれ、引いては社会的ステータスが上がっていくらしい。なんとなくわかりますね。
楽しさとステータスの関係性は、向社会的行動、リーダーシップ、肉体的魅力、正義感、運動の能力、攻撃性などの変数を取り除いても残ったようで、どうやら独立したファクターみたい。もちろん見た目の良さやリーダーシップもステータスを高めるものの、もしかしたら楽しさの方が大事なのかもしれませんな。
また、チームはフロリダ州南部の2つの学校でも似たような調査をしていて、ここでは8週間後の社会的なステータスの変化をチェックしております。その結果もおもしろくて、
- 楽しさと人気レベルのには正の相関があった
- 調査のスタート時点で 「楽しい」 と認識されている児童は、8週間後にさらにステータスと「楽しさ」のレベルが高まっていた
って感じだったらしい。要するに、楽しい人ほどステータスが高まり、ステータスが高まったおかげでさらに楽しい人になるという正のスパイラルがあるんじゃないか?ってことですね。子供を対象にした調査なんで、果たして大人のステータスにも当てはまるかは謎ながら、とりあえずは、
- 頭も顔も身体能力も良くない人は、とりあえず「楽しい人」を目指すと良さげ
ぐらいのことは言えそうっすね。ちなみに、この研究では「楽しい人の条件とは?」ってとこまでは調べていないものの、研究チームの推測によりますと、
- 楽しい人って「エゴレジリエンス」が高い人のことなんじゃない?
と言っておられます。エゴレジリエンスってのは、ストレスフルな状況で自我を適切にコントロールして対処する能力のことで、メンタルの柔軟性が高くて好奇心があり、外向的だけど神経症傾向が低い人は、この傾向を備えてるケースが多いんだそうな。
私の場合で言うと、好奇心レベルは高いものの外向性がほぼゼロで神経症傾向がやや高いキャラクターなので、そこらへんをコツコツ修正していくのがいいんでしょうなぁ…。