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晩ご飯を抜くプチ断食「eTRF」はどこまで健康にいいのか?問題


  

以前取り上げた「eTRF」に関する新しいデータ(R)が出ておりました。「eTRF」ってのは、当ブログでよくあつかっているプチ断食の一種で、ざっくり言えば、

 

  • 1日の早い時間にだけ空腹の時間を作る!

 

って食事法になります。例えば、朝8:00に最初の食事を口にしたら、そこから16:00までにすべての食事を終えて、翌日の朝8:00までは何も食べちゃいけないわけっすね。他のプチ断食と比べて「eTRF」の方が優秀なのかどうかはまだわからないんですが、とりあえず一部の研究者が「新しい手法」として注目してるのは間違いないとこであります。

 

 

で、この実験では、16名の健康な男性に対して「eTRF」の効果を検証していて良かったです。プチ断食の研究って大半は過体重か肥満体の人を対象にしてることが多いんで、健康で標準体重(平均BMI24.0)な人たちへの効果をチェックしてるデータはとてもありがたいんですよね。

 

 

チームは参加者を2つのグループに分けてまして、

 

  1. eTRF食を2週間行う
  2. カロリー制限を2週間行う

 

みたいになってます。ここで使われた「eTRF」の内容は、

 

  • 食事をしていいのは朝8:00から夕方16:00までで、この時間帯は好きなものを好きに食べる
  • それ以外の時間は、水、お茶、ブラックコーヒーだけを飲む

 

って感じでして、会社勤めの方だと実践しづらいかもっすね。ちなみに、ここでどんな食品が採用されたかは書いてなかったんですけど、食事の三大栄養素バランスは糖質45%、脂肪35%、タンパク質20%だったそうです。

 

 

一方で普通のカロリー制限を行ったグループは、毎日ちょっとずつ食事量を減らしたそうで、1週間あたりの総摂取カロリーは「eTRF」グループと同じになるように調整したそうな。最終的な食事の量は両グループとも同じなんだけど、カロリーをとるタイミングを変えただけで違いが出るのかを調べたわけっすね。

 

 

さて、2週間後にどんな差が出たのかと言いますと、

 

  • 「eTRF」を行ったグループは、1日の平均摂取カロリーが∼400 kcal減った
  • ついでに、普通のカロリー制限よりも全身のインスリン感受性が改善した
  • 骨格筋のグルコース取り込みも改善した
  • 体重の減り方は両グループに違いはなかった

 

だったそうで、「eTRF」は体重の減り方こそ優位性はなかったものの、糖の代謝にはより大きなメリットが確認されたみたい。言うまでもなく糖の代謝はアンチエイジングの大事なポイントなんで、2週間の成果としてはなかなかうれしい感じじゃないかと。

 

 

 

もっとも、一応過去の研究とも比べてみますと、

 

  • 2018年の「eTRF」研究(R)だと、メリットが確認された一方で、プチ断食をしたグループには中性脂肪や総コレステロールの上昇も確認されている

 

  • 「eTRF」を「遅い時間のプチ断食」(12:00~21:00)と比べた実験(R)では、どちらの手法でも同じぐらい糖のコントロール能力が改善している

 

ってな報告も出てまして、「もしかしたらeTRFにはデメリットもあるのかも?」「別に早い時間に食事を制限する意味はそこまでないのかも?」って気はしております。まぁ時間帯についてはどっちでもいいのかもしれませんが。

 

 

そんなわけで、まだ謎な部分も多いものの、もし晩ご飯を抜くライフスタイルに問題がないようなら試してみてもいいのかもしれません。個人的には空腹のまま寝るのが苦手なので、今後も朝飯抜きで行くかもしれませんが。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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