新型コロナに発酵食品が効きまくるかも?って観察研究が出てきたお話
発酵食品すごい!みたいな話はよく書いていて、健康に良いのはもちろん、
みたいな話も出てたりします。どうも腸内環境を癒すことでいろんなメリットが見込めそうなんですよね。
で、新しくフンボルト大学から「発酵食で新型コロナに強くなるんじゃない?」っておもしろい研究(R)が発表されておりました。
まず研究チームの問題意識を紹介しておくと、
COVID-19の死亡率には、それぞれの国とそれぞれの地域で大きな違いが存在する。東アジア、中央ヨーロッパ、バルカン半島などの死亡率が非常に低い国は、発酵食品の摂取量が多いという特徴が共通している。
みたいになってます。ご存じのとおり、日本をふくむアジア諸国は新型コロナの死亡率がやたらと低いんですけど、それって発酵食品をたくさん食べてるからでは?と考えたわけですね。
というのも、過去にヨーロッパ諸国で行われた研究でも、発酵食品は全体的な死亡率の低下と相関していて、ならば新型コロナでも同じ傾向があるんじゃないかと考えるのは自然なわけです。
ってことでチームは、発酵食品の効果を確かめるために、欧州食品安全局(EFSA)が作ってる食品消費データベースを使って、
- 発酵させた野菜
- ピクルス
- マリネした野菜
- ヨーグルト
などをヨーロッパの各国がどれぐらい消費してるかをチェック。これをそれぞれの国の新型コロナの死亡者数と比べたら、
- 発酵野菜の消費量が1日1g日増えるごとに、新型の死亡リスクは35.4%減少する!
って数値が出たそうな。うーん、これはなかなかの数値っすね。
さらに、ここでは野菜ごとの死亡率の違いもチェックしてまして、アブラナ科の野菜(ブロッコリー、カリフラワー、キャベツなど)を、ほうれん草、キュウリ、レタス、トマトなどと比べております。その結果はと言いますと、
- キャベツとキュウリの消費量が国民平均で1日あたり1g増えるごとに、新型コロナの死亡リスクは11分の1に減少する
だったそうで、こちらも結構な数値が出ててびっくりしますね。生態学的研究なんで、あんまうのみにしてもいけない数字ではありますが、事実ならすごいっすな。
ちなみに、発酵野菜が新型コロナに効く理由には諸説あるんですけど、すごーく雑にまとめておくと、
- 発酵野菜にふくまれる乳酸菌などが、Nrf2の強力な活性化因子として働く
- 活性化したNrf2がAT1R軸をブロックし、COVID-19がこの受容体に結合するのを防ぐ
- おかげで酸化ストレスが低下し、肺や内皮の損傷という新型コロナの怖い症状も減る
みたいな流れが推定されております。Nrf2ってのは体内の酸化を防いだり、細胞を保護するのに役立つ転写因子(遺伝子の働きを制御するタンパク質)で、発酵食品にはこいつの働きをアップさせる働きがあるんだ、と。いいですねぇ。
さらに余談ながら、このNrf2は炎症を抑制させる働きも明かになって来てまして(R)、こうなると「発酵食品ってのはアンチエイジング 効果もすごそうだなー」とか思うわけです(あくまで推測ですが)。
もっとも、今回の研究はヨーロッパ諸国がベースなんで、納豆や豆腐、漬物といった日本独自の発酵食品でも同じ機能を持つのかは謎です(普通に考えれば同じだと思いますが)。また、このデータでキャベツの成績が良いのは、中央ヨーロッパ諸国では発酵キャベツが定番メニューだからでして、決して「ザワークラウトこそ最強!」って話ではないのでご注意ください。
いずれにせよ、発酵食品が新型コロナに効くかも?ってデータは初だったので、今後も発酵食品を食べていくモチベーションになりますねぇ。