人工甘味料を食べると糖尿病になるかも?はどこまで正しいのか?問題
人工甘味料についてはまだまだ賛否がありまして、「そこそこダイエットには役立つかも?」みたいなデータがある一方で、「糖の処理系に悪さをして糖尿病リスクを上げるのでは?」って考え方もあったりします。食後血糖値と食後インスリンの反応に悪影響を与えて、体にダメージを喰らわせる可能性が昔から言われてきたんですよね。
ってことで、新たに出たメタ分析(R)では、「人工甘味料って本当に糖の代謝によくないの?とりすぎたら糖尿病になっちゃうの?」って問題を深く掘り下げてくれてて勉強になりました。
これは過去の研究から26件をピックアップしたもので、「人工甘味料を取った後に血糖値とインスリン反応はどうなるの?」って疑問についてて大きな結論を出してくれてます。人工甘味料については本当に多くの論争があるんで、このテストである程度の正解を出してくれるのはありがたいですねー。
でもって、いきなり分析の中心的な結論から言っちゃうと、
- 人工甘味料を摂取しても、食後の糖代謝には悪影響なし!
だったそうです。人工甘味料の種類や量を問わず、血糖値やインリンレベルには特に影響がなかったらしい。というか、2型糖尿病の人に限った場合は人工甘味料を使った後で血糖値の反応がおだやかになったそうで、良い影響が出るのでは?って感じすらするわけです。
まー、全体的に見るとそれぞれの実験はさほど人数が大きいわけでもないし、二重盲検法を使った実験も少ないのが弱みなんすけど、とりあえず人工甘味料には有利な結論ですね。ちなみに、データを見てますと、人工甘味料を他の栄養素と組み合わせても特に悪影響は起きなかったそうな。
また、2020年の調査(R)でも似たような結論は得られていて、栄養学の専門家を集めて意見を聞きまくった上で、こんな結論を出してます。
これまでに行われた臨床テストのエビデンスにもとづいて、専門家のあいだでは、人工甘味料は体重管理に役立つ場合もあると結論づけられた。ただし、これは砂糖の代わりに人工甘味料を使用した場合に限られる。
また、現時点におけるエビデンスでは、甘いものへの依存、食欲の増進、またはグルコースのコントロールなどに対して人工甘味料に悪影響があることを示すものはない。どころか、人工甘味料は糖尿病のコントロールに役立つ可能性がある。
また、ヒトの腸への影響についてはデータが限られており、十分な情報はまだない。
とのことで、専門家パネルのなかでも「人工甘味料が体に悪いことを示す証拠はない!」ってのがコンセンサスになってるみたいっすね。とりあえず、人工甘味料にはなんもビビらなくて良さそうな気がしてきますな(まだ腸内環境へのダメージについてはわからんところですが)。
ただ、まだ気になるポイントとしては、「人工甘味料の種類によって体への影響が異なるのでは?」って可能性はありまして、例えば2019年の実験では「いろんな種類の人工甘味料を調べたら、ダイエットに効くのはスクラロースだけだったよ!」なんて話もありますからねぇ。おそらく基本的には問題なしだと思うものの、最終的な結論はまだ出てないよーってことで。