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今週半ばの小ネタ:サウナすごい説、小太り実は健康説、音楽脳に良い説

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

   

 

 

サウナやっぱりすごいぞ!のメタ分析

サウナが体にいいってデータはちらほらあって、私もチャンスがあれば使うようにしてるんですけど、新しくメタ分析でも効能が確認されてて(R)いい感じでした。

 

 

ざっくりまとめると、「サウナで心臓や血管の機能は上がるのか?」って問題を扱った過去の研究から16のテスト(そのうち7件がRCTで、残りはランダム化されてない)をまとめてまして、参加者の属性は↓みたいになってます。

 

  • タバコを吸ってる、肥満、高血圧のいずれかに当てはまる
  • 38~69歳(大半は60歳以上)の男女

 

こんな感じで、心不全や動脈硬化になりそうな968人のデータをまとめて、サウナ直後から30分までと、サウナに入ってから2~4週間後の影響をチェックしたそうな。

 

 

結果をまとめると、だいたいこんな感じです。

 

  • サウナ直後から30分までのあいだに、多くの人は血圧が下がり、体温が上昇し、全体的に血行が改善されていた

 

  • サウナに入ってから2~4週間後の調査では、心臓の機能が上がり(左室駆出率の改善)、血圧と脳心血管機能が改善した(BNPで判断)

 

  • サウナの効果はもともと心血管機能が低い人ほど得やすく、サウナに4週間入り続けた人ほどメリットを得ていた

 

まー、まだメタ分析としては精度がやや低い感じでして、もうちょいカチッとしたデザインのデータが欲しいとこなんすけど、とりあえずサウナに入るだけの価値はあると見ていいんじゃないでしょうか。

 

 

ちなみに、研究チームは「(サウナは)十分な運動ができない人にとって、実行可能な手段となり得る」と言ってまして、サウナがエクササイズの代替案としても使える可能性を指摘しておられました。もちろん運動の効果にはおよばないものの、これまたおもしろいポイントですね。

 

 

 

太った人が実は健康ってどこまで本当?

ちょっと太った方が実は健康なのだ!みたいな説はたまに見かけるところ(R)。一般には痩せた方が病気になりにくいと言われるものの、実際には小太りの方が長命なのだ!みたいな考え方です。

 

 

ただ、この話はまだ不確定な部分がありまして、例えば「痩せた人は病気がちな人が多いから、そこらへんの影響を取り除かないとダメでは?」みたいな問題があるわけです。まだまだ難しい問題なんですよ。

 

 

ということで、マサチューセッツ・メディカル・スクール大学の先生方が、「太った人の方が実は健康は本当か?」を深掘りしてくれてました(R)。

 

 

これは23の先行研究から4,492,723人のデータをまとめたメタ分析で、だいたい10年を超える観察研究の結果をベースに、太りすぎと全死亡率を比べてます。その内容をざっと抽出すると、

 

  • 全死亡率(あらゆる病気による死亡率)と、心疾患による死亡率は、標準体重の人よりも太った人のほうがおしなべて高かった
  • 心臓病などにかかるリスクも、太った人のほうが全体的に高かった

 

ということで、ざっくり見ればやっぱ太った人が健康ってことはないんじゃない?って感じですね。ただ、心疾患の死亡率は統計的に有意じゃないレベルだし、研究ごとにメタボの指標にバラつきがあったりで、「確実なことを言うにはもう一声欲しい!」ってレベルではあります。

 

 

個人的には、「太った人が実は健康」説はまったく信じてなかったりするんですけど、もうちょい様子見ってことでひとつ。

 

 

 

音楽はボケ予防になるのか問題

音楽が脳機能を改善するかも?って話はよくあって、例えば脳の柔軟性が高まったり、記憶力や注意力が上がるなどと言われてるんですよね。なので、「音楽療法って認知症に良いのでは?」とも昔から言われてて、一部の病院とかでは治療法のひとつとし使われてたりします。

 

 

そこで、UCLMが新たにメタ分析(R)をしてくれまして、「音楽で認知症は改善するか?」ってとこをチェックしておりました。

 

 

8つの先行研究から816人分のデータを分析してて、実験期間は6週間から20週間ぐらい。音楽療法の内容はさまざまで、

 

  • みんなで歌う
  • 好きな音楽を聴く
  • ダンスをする
  • 楽器を習う

 

といったあたりを使ったとのこと。結果は、こんな感じです。

 

  • 全体的に、音楽療法は認知症の人の認知機能を改善した。特に療法の期間が20週間未満で、介入の種類が受動的(なんかの曲を聴くとか)なほうが改善しやすい

 

  • 生活の質(3つの研究で測定)は介入直後にのみ改善し、6ヵ月後には差は認められなかった

 

  • 逆に、抑うつ症状(5件の研究で測定)については、短期的な改善は見られなかった長期的な改善を示した

 

ということで、積極的に楽器などに取り組むよりも、受け身で曲を聞いた良い影響が出やすいってのがなんだか不思議ですが、とりあえず「音楽は有効な認知症対策になり得る!」と考えてよさげ。副作用もないだろうし、非常に使えそうな気がしますねー。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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