マギル大学の神経科学者が語る「いつまでも若々しくいる方法」#2「働き方と社会性編」
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「いつまでも若々しくいる方法」の続きでーす。このエントリでは、マギル大学の神経学者ダニエル・レヴィティン博士の「サクセスフル・エイジング」の概要をチェックしていて、前回は「性格」と「新しいことに挑む」ってポイントを見てみました。今回はその続きで「働き方」や「社会性」の話を見ていきましょうー。
▼高齢者の老けない働き方のお話
まずは「労働」に関するポイントから。レヴィティン博士は、「定年で仕事をやめるなんてとんでもない!それじゃ老けちゃうぞ!」って考え方を強調していて、具体的には以下のアドバイスを提示しておられます。
- 理想的な引退年齢などない:若くいるためには、体が不自由になっても、仕事やボランティアを続けるのが一番。目的がない時間が多すぎると不幸な感覚が高まるため、つねに忙しくしているのが大事になる。といっても、つまらないことで忙しくしてても脳は刺激を受けないので、意味のある活動をすべし。
- アンリタイアメントでGO!:経済学の世界では、定年で退職した後で仕事に戻る人が多い現象を「アンリタイアメント」と表現している。事実、アメリカでは退職した人の25〜40%が再就職しており、ハーバード大学の経済学者、ニコル・マエスタスは「目的意識と頭を使うことが重要だ」と述べている。
- 雇用主も意識を変えよ!:企業側は高齢者に労働の機会を提供したほうが良い。これはただの慈善活動ではなくビジネスの戦略として正しい行為で、多くのデータによれば、高齢者がいる多世代のチームは生産性が高い傾向にあり、高齢者は周囲の人の生産性を高める傾向が確認されている。
- 仕事がなければボランティアだ!:もし高齢で仕事が見つからないときは、ボランティアに従事するのもあり。ある研究では、ボランティアに参加した高齢者は海馬と大脳皮質の脳体積が増加したのに対し、何もしなかったグループは脳体積が減少していた。これは特に男性のボランティアに顕著で、2年間のボランティア活動によって老化が3年分逆転した。
- とにかく人生を広げよ!:フランスの作家アナイス・ニンは「人生は勇気に比例して縮小と拡大を繰り返す」と言ったが、脳の体積にも同じことが言える。人生を広げる方法は人それぞれで、新しいことを勉強して他人と議論したり、時事問題のディスカッショングループに参加したり、パーティのホストを務めたり、病院でボランティア活動をしたり、スープキッチンで働いたりと、人生が少しでも広がるならなんでもいい。
▼最も大事な「社会性」のお話
健康寿命を延ばすための最重要ポイントは、「社会的なつながり」であります。「人間の幸福に大事なのは、なんだかんだで人間関係」って話もあるとおり、良好な人間関係は脳を守り、記憶の維持に役立ち、健康状態を改善する効果まで示唆されております。
ってことで、以下にポイントです。
- とにかく人間関係の質が大事!:50歳の時点での人間関係の質は、80歳になったときの健康状態をかなり性格に予測する(コレステロール値よりも予測精度が高い)。
一方で孤独感は、心臓病、精神病、認知機能の低下など、考えられるほぼすべての健康問題に関わっており、孤独感はアルツハイマー病の発症率を2倍にするとの報告もある。
これは、孤独感がストレスホルモンの分泌を増やし、関節炎や糖尿病、認知症、の増加をもたらすのが原因で、慢性的に孤独な状態が続くと、その後7年間に死亡するリスクが30%上昇する。
- とにかく外に出て他人と接しよう!:一般に高齢者は感情コントロール力が高まるため、人づきあいが楽になる傾向がある。そのため、ブッククラブ、グループハイキング、ボランティアなどに参加してもうまくやっていきやすい。
特にボランティア活動は効果が高く、自己価値や達成感の改善などのメリットを享受できる。データによると、ボランティア活動は、うつ病の症状の軽減、自己申告による健康状態の改善、死亡率の低下などと相関している。
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社会性のまとめ:著者が言う「サクセスフル・エイジング」の定義は、これまで自分が楽しんできた活動から喜びを得て、さらに新しい活動を見つけていくことである。仕事、工芸、趣味、仲間との時間、地域社会への貢献など、意味のある、人の役に立つ活動に従事するのが大事。
ってことで、長くなったので今回はこのへんで。今回で「若くあるための技法」は終了で、次回は「加齢による機能低下にどう立ち向かうか?」をチェックしていきましょう。「不老長寿メソッド」でいえば「エイジズムをいかに克服するか?」みたいな視点ですね。ではまたー。