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マギル大学の神経科学者が語る「いつまでも若々しくいる方法」#1「性格と新しさ編」


  

サクセスフル・エイジング」って本を読み終わり。タイトルどおり「健康で長生きする方法」をまとめたもので、著者のダニエル・レヴィティン博士は、「武器化する嘘」や「音楽好きな脳」で有名な神経科学の先生です。今回は加齢がテーマってことで「不老長寿メソッド」とあわせ読むとおもしろそうっすね。

 

 

で、長生きに関する本なので、当然ながら本書でも「食事!運動!睡眠!」の改善についてもかなりのページが割かれてます。ここらへんは「不老長寿メソッド」とかぶるとこも多いんで、このエントリでは、食事・運動・睡眠を除く部分でためになったとこをまとめときます。

 

 

▼性格と長寿に関するポイント

人間は歳をとると、少しずつ性格が変化することがわかっている。そのため、歳をとると自分はどう変わるのか?を押さえておくと、加齢にともなう身体の変化にも対応しやすくなる。

 

  • 楽観主義は大事だが注意点もある楽観的な人が長生きするってデータは多く、重要なポイントなのは間違いない。ただし、あまりにも楽観的すぎると、癌の検査を受けなかったり、40歳から体重が増えている事実を無視して、すべてうまくいくと考えたりしてしまう。つまり、楽観主義には現実主義と誠実性が必要なので注意されたし。

 

  • 歳をとると誠実性は自然に高まる:歳をとると、若年よりも自制や自己管理、ルール遵守などが得意になっていく。これは加齢のせいで誠実性が高まったものと考えられ、20歳以降、自制心は10年ごとに少しずつ高まっていく。


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    ただし柔軟性は加齢で悪化する:柔軟性(計画や環境の変化に容易に対応する能力)は、20歳を過ぎると10年ごとに確実に低下する。しかし、それに甘んじることなく、「つねに新しいことをするぞ!」と決意するのが大事。


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    好奇心も加齢で悪化する開放性(認知や行動の柔軟性、好奇心や創造性など)は、思春期の頃に増加し、年齢とともに減少していく(つまり好奇心が低下する)。これには、脳内のドーパミン減少が関わっている。


     

  • 歳をとると他人とうまくやれるようになる:一方、協調性は時間の経過とともに大幅に増加する傾向がある。高齢者が良い印象を与えやすかったり、他人と協力してうまくやっていくことへの関心が高いのは、この変化が原因だと考えられる。

 

  • 歳をとると感情も安定する:人間は歳をとるごとに感情の安定性や落ち着きが増す傾向がある。一般に、男性は年齢とともに感受性が高まり、女性は感情の強度が減少していく。もちろん例外は常にあるものの、全体を平均すると感情が安定していくケースが多い。

 

  • 歳をとると人生の満足度が高まる:高齢になると個人の満足度も高まる傾向がある。これは、加齢によって情緒が安定するのが原因で、「ラ・ドルチェ・ヴィータ効果」(「甘い生活」効果)と呼ばれている。

    一般に、高齢者は今あるものに満足し、自己完結的でゆったりとした生活を送り、生産性を追求しない。そのため、気分障害、不安、行動上の問題は60歳を過ぎると減少を始める。

     

 

 

▼とにかく新しいことをしよう!系のアドバイス

どんな研究を見ても、認知症や脳神経の萎縮を防ぐには「常に新しいことに挑むのといいよ!」って結果が出ております。博士いわく、

 

老化を防ぐ最良の方法の一つは、若いうちに手先の器用さを身につけ、それを継続することだ。次善策としては、年を取ってからも新しいことを学び始めることだ。

 

とのことで、つねに脳を刺激させよ!ってのが大きなポイントになっておりました。以下、この観点に関するポイントをまとめておきます。

 

  • 脳の変化は死ぬまで続く:  脳は生涯にわたって変化するため、何か新しいことを始めるのに遅すぎることはない。ジュリア・ホーキンスという女性サイクリストは75歳になってから自転車を始め、全米シニアゲームで銅メダルと金メダルを獲得。その25年後、100歳になったてからはランニングを始め、その1年後には100ヤードダッシュで39秒62という100歳以上の女性の記録を樹立している。

 

  • クリエイティブな仕事が吉:クリエイティブな仕事に携わっている人は、ずっと脳を鍛えていることになる。プロジェクトに取り組むたびに、世界を見る新しい方法を学び、それに基づいた新しい行動が必要になるからである。

    ただし、クリエイティブな仕事でなくとも、新しい反応をしなければならない仕事や趣味は、認知症や神経の萎縮から脳を守ってくれる。この事実は、ペンキ職人、スポーツ選手、起業家、広報担当、運転手、クロスワードパズル、ブリッジプレイヤーなど、なんにでも当てはまる。

 

  • どんな小さなことでも「新しさ」には意味がある:レンタカーを運転する、太さの違うペンを使う、他人の家のキッチンで料理をする、新しいシャツのボタンを留める、聞いたことのないアクセントの言葉を聞く、重さや持ち手の大きさが異なる新しいカップでコーヒーを飲むなど、どんな小さなことでも「新しさ」さえあれば、神経可塑性(脳の神経が新たな方向に再編成される)は生まれる。

 

 

ってことで、ちょっと長くなりましたんで今回はこのへんで。次回は、いつまでも若々しくいるための「仕事」や「社会性」の話を見ていきましょうー。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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