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今週末の小ネタ:空間記憶トレーニングで数字に強くなる?ブルーベリーで子供の認知が上がる?中年でも食事の質改善は重要

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

 

空間記憶トレーニングで子供の算数勉強がブーストする?

数字に強いほうが人生も勝ち組になりやすい!」ってのはよく言われる話で、数学の能力を鍛えておくにこしたことはないわけです。

 

 

では、数字の能力を高めるためにはどうすれいいか?ってことで、新たに「空間能力を鍛えればいいんじゃないの?」ってデータ(R)が出ておりました。空間能力ってのは「頭の中で図形を回転させたり、立体の展開図を思い描ける能力」みたいなことで、昔から数学の成績と関係があると言われてきたんですよね。

 

 

そこで、この研究では17,648名の子どもたちを集め、7週間にわたって以下のトレーニングのいずれかを指示したそうな。

 

  1. 空間操作メンタルローテーションとかタングラムを行う

  2. 空間情報の維持視空間ワーキングメモリ課題を行う

  3. 空間的推論=「立体を別の角度から見たらどうなる?」みたいなクイズをやる

 

というわけで、これらの認知トレーニングをランダムに割り当てると同時に、数学トレーニングを行ったらしい。子どもたちにはアプリが配布されて、36日にわたって訓練をしてもらったとのこと。

 

 

すると、最終的にはそこそこの違いが出まして、

 

  • どの認知トレーニングを行った場合でも、子どもの算数学習が改善した

  • なかでも視空間ワーキングメモリ課題と空間的推論のトレーニングが効果的だった

ってことで、立体を別角度から考えたり、展開図を想像するような能力は、やはり数学の学習能力アップと関係があるっぽいっすね。私のようなオッサンでも今から同じ成果を得られるかは謎ですけど、VRの空間系パズルでもやってみるか……って気になりましたね。

 

 

 

ブルーベリーのポリフェノールで子供の認知機能が上がる?

ブルーベリーは脳にいいんじゃないの?って話は、昔からいくつかあるんですよ。ブルーベリーに含まれるアントシアニンが、認知能力を向上させるんじゃないのかなーと言われてきたんですよ。

 

 

そこで新しい研究(R)では、「ブルーベリーは子どもの脳に良いの?」って問題を調べてくれてて有用でした。これは4週間のRCTで、15人の子ども(7~10歳)を集めて、

 

  1. 野生のブルーベリーを使った高ポリフェノールジュースを飲む

  2. 糖分、ビタミンC、水分を合わせた低ポリフェノールのジュースを飲む

 

のどちらかをランダムで割り当てたんだそうな。その上で、単語の記憶テストと注意力のテストを行ったところ、結果はこんな感じになりました。

 

  • ブルーベリーを飲でも、単語記憶テストのパフォーマンスに影響はなかった

  • 注意力テストの成績については、特定のセクションでの正確さのみブルーベリーを飲んだグループの方が優れていた
  • 気分に関しては、グループのあいだに差はなかった

 

ってことでして、「子供の脳力アップにブルーベリーを!」とはとても言えるレベルじゃないものの、ポリフェノールの健康効果を得つつ、注意力に良い影響が出ればいいなーぐらいのノリでお子さんに食べてもらうのはアリじゃないでしょうか。

 

 

 

食事の質を改善すれば、高齢者でも認知障害のリスクが減るかもだぞー

本当に大事なのはカロリーの質だ!」みたいな話を「不老長寿メソッド」で強調してるんですが、新たに出たデータ(R)では、私ぐらいのオッサンになってから食事の質を上げたらどうなるか?みたいなとこをチェックしてくれてました。だいたい45~74歳の人たちが食事の質を改善しても、ちゃんとメリットを得られるのか?みたいなポイントっすね。

 

 

これは 1993年から2016年にかけて45~74歳の中国人1万4,683人を調べたもので、

 

  • 定期的に食事の質の変化を尋ねる

  • 認知機能の変化もチェックする

 

みたいな質問を重ねて、中年が食事の質を改善したら認知機能はどうなるか?をチェックしてくれてます。ここでいう「質の高い食事」ってのは、果物、野菜、乳製品、魚介類、ナッツ類、豆類の摂取量が多く、精白された穀物、赤身の肉、加工肉の摂取量が少ないことと定義されたそうな。

 

 

で、結果はこんな感じです。

 

  • 食事の質が高い参加者は食事の質が低かった参加者と比べて、認知機能の障害を示す可能性がかなり低かった

  • 食事の質が高い参加者は、既婚者でBMI値が低い傾向があり、さらに教育水準が高く、アルコールやタバコを控え、身体活動が活発で、毎日6〜8時間の睡眠をとる習慣があった
  • 中年から質の高い食事に切り替えた場合も、認知機能の障害が下がる傾向があった

 

ということで、歳をとっても遅くないから食事の質を変えねば!と思わせる結果になっておりました。まー、この研究については、食生活アンケートが異なってるし、認知機能の障害が起きてから食生活が変化する可能性もあるしで、いろんなバイアスがありそうなところはご注意いただきたいところです。どうぞよしなに。
 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。