人生の幸福が金じゃないのは常識として、それではもっと重要な要素はなんだろう?みたいな話
人生の幸福は金じゃない!ってのは「科学的な適職」にも書いた話で、近年は微調整がありつつも大きな結論は変わらない感じっすね。
でもって、カリフォルニア大学バークレー校による調査の結論(R)も似たような話でして、まずは結論から申し上げますと、
- 人生の総合的な幸福度は、どれだけのお金を持っているかではなく、「どれだけ周囲から尊敬されているか?」や「どれだけ賞賛されているか?」に左右される!……かも
みたいになります。金の幸福に限界があるのは従来の説と同じながら、それよりも社会的なステータスの方がよほど重要なのでは?ってのを示したところがポイントですね。
研究チームいわく、
私たちがこの調査をしようと考えたのは、社会経済的地位(高収入や高学歴など)が高くても、主観的な幸福度(または幸福感)はほとんど向上しないとの証拠がたくさんあるからだ。しかし同時に、地位が高ければ幸福度が高まるはずだという理論も多い。
とのこと。こりゃ悩ましい問題ですね〜。
そこでチームは4つの研究を行ってますが、とりあえず重要なとこだけ抜き出すと以下のような感じです。
- 最初の研究:
大学で12の異なる部活に参加している80人の大学生に調査を実施。それぞれの学生とグループにインタビューを行い、仲間からの評価、グループ内でのポジション、リーダーとしての経験などを調べ、このデータを、参加者の世帯収入の合計、および社会的な幸福度と比べた。
その結果:
性別と民族などを調整した結果、社会経済的地位ではなく、社会測定的地位が学生の社会的幸福度のスコアを予測することがわかった(つまり、金よりグループ内での地位が大事ってことですな)。
さらに、社会経済的地位と社会的幸福度の関係は、学生が大学の人間関係の中で感じていた権力や社会的な承認の感覚によって部分的に説明できた(つまり、金と社会的地位が幸福につながるのは、人間関係でどれだけ認められてるかがそこそこ大事ってことですな)。
- 4つ目の研究:
この調査は、「社会的な地位こそが幸福につながる」って仮説の因果関係を現実の世界でチェックしたもの。
具体的には、MBAプログラムに参加中の学生を追跡調査したところ、卒業前から卒業後にかけての社会的地位の変化が、学生たちの社会的な幸福度の変化に対応していることがわかった。また、卒業後の社会的な地位は、卒業後の経済的地位よりも幸福レベルを強く予測していた。
ってことで、研究チームの仮説どおり「ヒトの幸福には金より地位が大事!」って傾向が見られたらしい。友人関係、近所付き合い、同僚、スポーツのチームなど、お互いに顔の見えるグループ内での尊敬や称賛が、お金よりも幸福感への影響は大きいんだってことですな。
では、なんでお金よりも社会での地位が重要なのかと言いますと、
お金で幸せが買えない理由の1つは、私たちが新しいレベルの収入や富にすぐに適応してしまうところにある。例えば、宝くじの当選者は最初は幸せだが、すぐに元のレベルに戻ってしまう。
しかし、ローカルな地位に置いては、そのような適応が起こらないのかもしれない。尊敬されたり、影響力を持ったり、社会の一員として機能したりといったことは、決して古びることがないのだろう。
といった推測がなされておりました。ここでいう「地位」ってのは、他人より権力があるって意味だけではなく、「仲間から尊敬されてる」とか「みんなから認められてる」といったポイントもふくみますんでご注意ください。金がなくとも仲間から認められてる方が幸せ!ってのは、日常的な実感とも近い結論じゃないでしょうか。
余談ながら、このデータでは「9カ月ぐらいのスパンでも、人間の幸福は地位の上下と連動する」って傾向も見られていて、やっぱ人間は社会の評判に敏感な生き物なんだなーって気になりますね。