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しつこい腰痛に12週間でガッツリ効く「体幹トレーニング」4種目はこれだ!という実験の話


  

腰痛を治すのは難しい!」ってのは常識。というのも腰痛の原因はめちゃくちゃバラバラで、神経が傷んでいるかもしれないし、メンタルのせいかもしれないしで、いろんなことを試してみないと原因がわかんなかったりするんですよ。

 

 

にも関わらず、現代では最大で84%の成人が人生のどこかで腰痛を経験していると言われてまして、なんとも困ったもんです。私も最悪の期間は抜けたものの、気を抜くといまも腰に違和感は出ますからねぇ。

 

 

といった状況下、「体幹の筋力トレーニングで腰痛のリスクを軽減できるのでは?」ってデータ(R)が出てたので、どんなもんか押さえておきましょう。

 

 


まずこの研究の前提がどんなもんかと言いますと、

 

  1. 腰痛の潜在的な原因のひとつとして、脊椎の腰部を安定させる腹直筋、外腹斜筋、腹横筋などの体幹の筋肉が弱いケースがある

  2. それならば、体幹の筋肉を鍛えることで脊柱が安定して腰痛も改善するはず!

  3. なかでも「体幹筋機能強化トレーニング(CMFST)」は腰の安定に効くだろうから、腰痛のリスクも低減してくれるんじゃないの?

 

って感じです。腰回りの筋肉が弱い人は、歩くときも腰がぐらぐらしちゃうから、そのせいで腰痛が起きてるんじゃないの?ってことですね。

 

 

ただし、いままで体幹トレーニングと腰痛の関係を調べた調査は少なかったんで、今回はかなりガッツリと効果をチェックしてくれてます。ありがたいですねぇ。

 


このテストは12週間のRCTは、中国海軍で基本的な戦闘訓練を受けた男性588名を集めて、体幹トレーニングをするグループとなんもしないグループのいずれかに割り当てたそうな。体幹トレーニンググループは、週5日の戦闘訓練を受けながら体幹の運動も行いまして、

 

 

っていう4つのコアエクササイズを1日3〜4セット実施したらしい。そのうえで、12週間のテスト中にどれぐらい腰痛を発症したか、腰の筋持久力はどれぐらい変わったか、腰痛の痛みに変化は出たかってのを調べたら、結果はこんな感じになりました。

 

  • 体幹トレーニングをしたグループに腰痛が起きる確率は、何もしなかったグループよりも低かった(10.8% vs. 20.8%

 

  • 多くの交絡因子(年齢、教育水準、BMI、ウエスト・ヒップ比、腰の筋持久力など)を調整したロジスティック分析では、何もしなかったグループの腰痛のオッズは体幹トレーニングをしたグループのオッズの約2倍だった

 

  • 体幹トレーニングをしたグループは、腰の筋持久力が何もしなかったグループより改善し(26% vs.75%)、腰痛の痛みなども改善された(52% vs.23%)

 

ということで、全体的に「かなり良いのでは?」って結果になってます。実験の内容もわりと良好で、海軍に所属している男性を選んだことで、データに影響しそうなノイズをかなり排除できてるのがすばらしいですね(海軍はみんな同じような生活をしているので、ライフスタイルの違いで結果がゆがみにくい)。

 

 

まぁ「運動が腰痛に良い」ってのは昔から言われていたことではありまして、

 

  • 8つのRCTをまとめた2018年のメタ分析では、運動が腰痛のリスクを33%減少させると報告している(R)。ただし、この分析では「どのタイプの運動が腰痛に効くの?」ってとこまでは調べていない

 

  • 217のRCTをまとめた2021年のネットワークメタ分析では、柔軟体操を除くすべての種類の運動は腰痛に効くと報告している。なかでも効果が高いと判断された運動は、ピラティス、マッケンジー療法、機能回復系、体幹トレーニング運動だった(R)

 

ってことなので、今回のデータもあわせて考えてみますと、

 

  • どんな運動でも、なんもしないよりは確実に腰痛はやわらぐ

 

  • しかし、いろんな種類の運動を比較してみると、有酸素運動などよりも体験を鍛えるエクササイズのほうが、腰痛の痛みと頻度の改善には効果的なのかもしれない

 

って印象がありますね。個人的に、体幹系の運動ってプランクぐらいしかやってこなかったんですが、今回の結果を見たら、もうちょい幅広い体幹トレーニングをしてみるか……って気になりましたね。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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