あなたの睡眠不足を引き起こしている原因は「上司」だったりしやしませんかね?
「悪い上司は部下の睡眠にダメージを与える!」ってデータ(R)がおもしろかったのでメモ。
上司が悪けりゃストレスが激増するのは当たり前なんで、確かに睡眠にも悪影響は出るだろうなーと思うわけですが、このオレゴン健康科学大学などのチームは「上司が睡眠に影響するのはストレスだけじゃない!」と主張してまして、おもにふたつの原因をピックアップしております。
- 「俺って数時間しか寝ないで働いてるんだよー」と寝ない自慢をするタイプの上司を持ってしまうと、部下に「8時間も寝るのはダメなことなのだ……」みたいな罪悪感を抱かせ、自分自身の健康をかえりみない態度を育ててしまう
- 上司が従業員のワークライフバランスをサポートせず、プライベート中にも仕事の連絡をガンガンにしてくるような場合は、部下が「つねに臨戦態勢でいなければ……」って気分になり、そのせいでやはり睡眠の質が下がってしまう。実際、新型コロナで増えた在宅勤務の研究を見ても、上司がガンガンに介入してくる会社ほど、在宅ワークのパフォーマンス低下することが示されている。
みたいになります。かように上司は部下の睡眠への影響がデカいってことで、研究チームは、この考え方を「スリープ・リーダーシップ」と名付けております。研究チームいわく、
家族をサポートしてくれるような上司を持つ従業員は、仕事と家庭を両立させる際の時間管理が容易になるだろう。そして、時間管理ができるようになると、従業員は規則的な就寝時間を確保したり、時間通りに就寝したり、より長く眠ったりできるようになる。
とのことで、現代は上司が部下の睡眠までマネージメントせにゃいかん時代なのかもですなぁ……。
ただ、これはあくまで研究チームの推測なんで、本当に上司と部下の睡眠が関係しているのかはまだよくわからないところ。そこでチームは、アメリカの陸軍国家警備隊で働く従業員から、180人の労働者とその91人の上司を集めてリサーチを行ったんだそうな。
集められた従業員は平均36歳(20歳から57歳)で、日中は通常のシフトで勤務。上司は部下の数歳ほど年上で、従業員と同様に現役の軍人としての地位を維持していたとのこと。
調査では、上司には「部下に睡眠の習慣を尋ねることがある」や「寝ないで働くことがある」みたいな文章に賛成するかどうかでスリープリーダーシップのレベルを評価。部下のほうには「上司のスリープリーダーシップをどう思いますか?」ってのを評価してもらったんだそうな。
そのうえで、すべての参加者に睡眠モニタリング機器を装着してもらって21日間の睡眠パターンを記録したのに加え、従業員は自分の睡眠衛生状態(「日によって寝る時間が違う」など)と主観的な睡眠の質(「眠りが浅い」や「眠くてなかなか仕事が進まない」など)を自己採点してもらったあと、全てのデータを比べたらしい。
その結果、どんなことがわかったかと言いますと、
- 上司のスリープリーダーシップの点数が高くなるほど、部下たちはより規則的なスケジュールで睡眠をとり、眠気のせいで仕事に支障が出るケースが少なかった
- ただし、上司のスリープリーダーシップと従業員の睡眠時間には相関がなかった(上司のスリープリーダーシップが優秀でも睡眠が増えるわけではない)
- 上司が良い睡眠習慣を身につけていると感じている従業員は、より熟睡でき、日中の疲労感が少なかった
- 上司がヤバいと(部下のプレッシャーに上司が同調してくれなかったりとか)、部下は規則正しい就寝時間を確保するのが難しくなり、日中の感情的な消耗も増える
だったそうです。こうして見るとやはり上司の態度は部下の睡眠に影響してるのかもですな。
つまり、この結果を現実に活かすなら、
- 自分が上司の場合:みんなもっと寝ようぜ!俺もちゃんと寝まくってるし!仕事より睡眠優先!って態度を自分の背なかで見せる
- 自分が部下の場合:上司のスリープリーダーシップが良くない場合は、その旨を正直に上司へ伝えるか、それが無理ならせめて「自分の睡眠の質は上司に影響されているのだ」って意識を持ち、仕事に差し支えが出てないかモニタリングしておく
って感じになるでしょうね。過去の研究を見ても、よく眠る従業員ほど仕事のパフォーマンスが高いのは間違いないので、ここは注意しておきたいっすねぇ。