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今週の小ネタ:瞑想でみんなどんな体験をしているの?瞑想のエキスパートはどんなスキルがあるの?孤独感を減らしたいなら何に金を払うべき?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

瞑想でみんなどんな体験をしているの?

瞑想やマインドフルネスをやってると、意識はどのように変わるのか?ってのを調べた研究(R)が出ておりました。「瞑想でストレスが下がる!」とか「瞑想で集中力が上がる!」みたいな長期的なメリットの話ではなく、「瞑想でなんか気持ちいいなー」とか「瞑想したら光が見えたなー」みたいな、知覚的な変化の話ですね。瞑想歴が10年を超えた私としても、これは気になるところです。

 

これはマサチューセッツ総合病院の研究で、3,135人の男女を対象に、「瞑想でどんな意識の変化が出ますか?」ってのを調べたものです。みんながマインドフルネスでどんな体験をし、その体験によって個人の幸福感がどう変わるのかを調査したんだそうな。

 

すると、結構な数の人が、瞑想のあいだに意識の変容を体験していたそうで、そのおかげで「メンタルと肉体の調子が良くなった!」と感じる人が多かったというんですな。

 

では、参加者が、瞑想のあいだにどんな意識の変性を味わったのかと言うと、以下のようになります。

 

  • 非現実化:参加者の17%が、環境から切り離されたように感じた。

  • 一体感体験:15%が「一体感」を経験した。

  • 恍惚としたスリル:15%が強烈な快感を感じた。

  • 鮮明な知覚:11%が感覚の高まりや鋭さを指摘した。

  • 知覚サイズの変化:10%が身体の知覚に変化を経験した。

  • 体温または電気:9%が体温または電流の感覚を訴えた。

  • 体外離脱体験:8%が肉体の外にいると認識した。

  • 非物理的な光の知覚:5%が物理的に存在しない光を見た。

 

ってことで、わりと宗教体験に近い報告が多いっすね。私の場合は、「非現実化」と「知覚サイズの変化」をよく体験していて、ごくまれに「光の知覚」があるぐらい。

 

でもって、意識が変容した人は、精神的にポジティブな結果を得るケースが多く、

 

  • 心身の健康が改善された
  • 人とのつながりを感じられるようになった
  • 平和で明晰な感覚を得られるようになった

 

ってメリットが得られたんだそうな(もちろん、否定的な結果が出た人も13%ぐらいいたけど、ここでは割愛)。自分のケースだと、平和な感覚が一番大きいかもなーって印象ですね。

 

研究チームいわく、

 

意識が変化した状態は、ウェルビーイングにポジティブな、時には変容的な効果をもたらすことがほとんどだった。

われわれの研究は、瞑想による意識の変容は珍しいものではなく、むしろ人間の正常な体験であることを発見した。

 

ということで、瞑想でなんらかの知覚が変わり、それによってメンタルへのメリットが出る傾向はあるらしい。まー、瞑想のデータはまだ少なすぎて、「誰にどのような意識の変容が起きやすいのか?それによってメリットを得やすい人はいるの?」みたいな問題の答えはわからないんですが、単純に意識が変容する感覚っておもしろいんで、今後も「味わえたらいいなー」ぐらいの気持ちで続けていきたいところです。

 

 

 

瞑想のエキスパートはどんなスキルがあるの?

続いても瞑想の話です。こちらの研究(R)では、瞑想のエキスパートについて調べてくれてまして、その結論から申し上げますと、

 

  • 瞑想の経験が豊富な者は、自発的に意識をオフにすることができる。

 

といった感じになります。「意識をオフ」ってのは、瞑想のなかで意識が真っ白なモードに入った状態のことで、どんだけ瞑想をしていても時間が経過した感覚がなく、ただ空白を感じているだけになるんですな。

 

研究チームいわく、

 

2,000年以上前の経典には、集中的な瞑想の実践中に起こりうる驚くべき出来事が記されている。止滅(パーリ語ではニローダ)と呼ばれる現象では、修行者の意識は一時的に消える。

そこから意識がもどると、瞑想者は突然の深い精神と知覚の明晰さなど、大きく心の働きが変化すると言われている。

 

とのこと。そこで研究チームは、上級の瞑想者ってのは、実際に「意識が消失する状態」に入るのかを、脳の電気活動を測定して調べたんだそうな。

 

そこで何がわかったのかと言いますと、

 

  • 瞑想のエキスパートほど、瞑想中にアルファ波が大幅に減少していた。

 

って感じだったそうです。アルファ波は、私たちが過去や未来について考えているときに発生しやすく、より高度な認知プロセスに関与していると考えられてるんですな。

 

こういう現象が起きる理由はよくわからんですが、おそらくは精神を「現在」に集中させまくった結果なんでしょう。現在に集中しまくったせいで、意識が完全に崩壊したってことなんじゃないかと。。

 

まぁ、こういった「意識が消える」体験が、良い変容をもたらすかどうかはわからないんですけど、瞑想に慣れまくると、意識を自発的に消せるのかもしれないってのは、ちょっとおもしろい知見でしたねー。

 

 

 

孤独感を減らしたいなら何に金を払うべき?

最後に、“孤独感”にまつわるデータ(R)を見ておきましょう。こちらもまず結論から言っておくと、

 

  • 孤独から抜け出したかったら体験に金を使え!

 

みたいになります。体験に金を使うと、物に金を使うよりも強い社会的なつながりを生み出し、孤独感を解消するのに役立つよーって話ですね。

 

これはテキサス・マッコームズ大学の研究で、7つの実験を行ったうえで、「体験に金を払うか vs 物に金を払うか」のどちらが、社会的つながりの感情をブーストさせるのかをチェックしております。どんな実験だったかをざっくりまとめると、以下のようになります。

 

  • 301人の参加者に調査を行ったところ、たいていの人は、「物を買った人」に比べて、「自分と似たような体験に金を出した人」に対して、より親近感を感じた。これは、共有体験によって、ユニークな絆が生まれるのが原因だからだと考えられる。

 

  • 96人の大学生を対象とした実験では、「物を買う」よりも「体験を買う」ほうが自分のアイデンティティになりやすいことが示された(つまり、物を買うよりも体験を買うほうが自分を規定する材料にしやすい)。そのため、アイデンティティのつながりの感覚が、生まれやすいのだと思われる。

 

  • さらに、197人の大学関係者と202人の参加者を調べた実験では、「過去に金を出した重要な体験」について振り返った人たちほど、その後で社会的つながりの感覚がなかった。この効果は、購入費用をコントロールした場合でも一貫しており、どれだけのお金を払ったかは、体験がもたらすメリットとは関係がないことが示唆された。

 

ってことで、全体的に、体験にお金を払った人のほうが、「私は社会とつながっている!」って感覚が増し、孤独感がやわらぐ傾向があったんだそうな。体験を買うほうが自分のアイデンティティが強固になり、そのおかげで他人との親密さが増すってのは、言われてみればそうかもしれないですね。

 

研究チームいわく、

 

私たちは、買ったものからソーシャル・キャピタルを構築できるかもしれない。それがひいては、より多くの健康や幸福につながる可能性がある。

 

物を買うよりも、体験を買う方が永続的な幸福をもたらす傾向があることは、多くの証拠によって証明されている。これらの実験結果は、物ではなく体験を購入した人はき、自分自身だけでなく、お互いに投資していることを示している。

 

とのこと。体験に金を払え!ってのは昔から言われることですが、あらためて心がけようと思いましたねー。


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