Googleが使う生産性アップ法はこれだ!という本を読んだ話
https://yuchrszk.blogspot.com/2024/06/google.html?m=0
『アップタイム:個人の生産性と幸福のための実践的ガイド(Uptime:A Practical Guide to Personal Productivity and Wellbeing)』って本を読みました。
著者のローラ・メイ・マーティンさんは、グーグルのエグゼクティブ生産性アドバイザーをやっている人。グーグルのエグゼクティブに時間とエネルギーの最適な管理方法を指導し、5万人以上の社員に生産性ニュースレターを配信しており、もとはノースカロライナ大学チャペルヒル校で経営学を学んだ方らしい。なんか面白い経歴ですね。
でもって、タイトルのとおり、本書は「生産性が爆上がりするアップタイムを作ろうぜ!」みたいな内容で、いかに自分のパフォーマンスを高めるかをチェックしてくれています。というと、イケイケのビジネス書を想像してしまいそうですが、内容としては「いかに脳をダウンレギュレートするか?」みたいなところにも紙面が割かれていて、バランスが取れた内容になってて良いんじゃないでしょうか。
では、本書から勉強になったところをピックアップしてみましょうー。
- 私たちの脳には「状態依存性」がある。これは、私たちの脳が「自分は何を学んでいるのか?」だけでなく、「私はいまどこにいるのか?」「どんな匂いを嗅いでいるのか?」「何を聞いているのか?」といった情報と記憶を結びつけ、それぞれの情報を脳に蓄積している。
特定のクラシック音楽で集中力が上がる人がいたり、特定の時間になると眠気を感じる人もいたり、同じ喫茶店の同じ席に行かないと作業ができない人もいたりするのは、いずれも状態依存性が原因である。
- 私たちの脳が、特定の場所と特定の作業を結びつけていることを理解すれば、この傾向を使ってパフォーマンスを上げることができる。特定の喫茶店で「仕事モード」に切り替わる人が多いのは、パソコンを開く前に、デスク、コーヒー、周囲の客など、多くの状態がそろっているからである。これらはすべて、その人の脳が、「このコーヒーやデスクがある場所では仕事をするものなのだ」と認識したからである。
- そのため、特定のタイプの仕事のために物理的なホットスポットを作ることで、「状態依存性」をうまく利用することができる。これは、ハイブリッドワークのために複数の場所を持っている場合でも、自宅やオフィスのように毎日同じ場所で仕事をしている場合でも変わらない。
例えば、経費を処理するときは、いつもオフィスの大きな快適な窓際の椅子で行う。在宅勤務の日は、いつも家の近くの喫茶店で資料を読む。一日の始まりは、いつも玄関先で業界ニュースを読む。朝一番にデスクでコーヒーを飲みながらメールに返信する。このように、一定の場所と作業を結びつけることで状態依存性を発揮できる。
- 特定のタスク "ホットスポット”を作るのと同じように、"ノットスポット"を作ってみるのも効果的である。ノットスポットとは、脳にとって安全な場所のことで、仕事も難しい仕事もせず、ただリラックスできるスペースを意味する。たとえば、自宅のちょっとしたデッドスペースに小さな椅子と毛布、コーヒーメーカーなど、自分が好きなものを置くだけでもよい。
このようなノットスポットは、本や雑誌を読んだり、瞑想したりと、とにかくリラックスする場所として使う。このスポットには時計は置かず、仕事のことなどは絶対に考えないようにする。これもまた、続けるうちに、脳が「ここはリラックスするための場所だ」と認識するようになる。
- “アップタイム”を作るのも重要である。アップタイムは、流れに乗り、物事を把握し、生産的で、うまくいっているという感覚が生まれている状態を意味する。アップタイムに入ると、私たちは穏やかな達成感を味わえることができ、人生の満足度もアップする。
そのためには、まずはダウンタイムを充実させる必要がある。コンピュータは、定期的にシャットダウンして再起動してやる必要があるように、人間にも同じことが必要となる。ワークアウト、犬の散歩、休暇、会議の合間の休憩、リラックス、情報やアイデアを処理したりするために、デバイスを使わない時間が欠かせない。こうした休憩がなければ、アップタイムを維持することはできない。
また、ダウンタイムは何かを創り出すために最適な時間でにある。たいていの人は、ミーティングや仕事の最中よりも、散歩中や夕食を作っているときのほうが、最高のアイデアが浮かぶ可能性が高い。大きな思考やひらめきを生み出すためには、スケジュールにダウンタイムを設ける必要がある。
- 続いて、自分のアップタイム(集中力、注意力、戦略性が自然と高まる1日の時間帯)を把握するのも重要である。その時間帯を特定するには、デスクに生産性日誌をつけておき、「ゾーンに入った!」と感じたときに、その時間をメモしておくといい。これを1カ月も続ければ、パターンが見えてくるはず。
また、「もし明日1日、仕事を片づけるタイミングを好きなように組み立てられるとしたら、どの時間で集中して仕事をしようとするだろうか?」と自問するのもよい。ここで自分が選んだ時間帯が、おそらくあなたのアップタイムとなる。
- 自分のアップタイムを特定したら、その時間を戦略的で集中的な仕事のために確保する。この時間帯では、低エネルギーの会議、事務的なタスク、あるいはキャッチアップのための雑談を排除する。週に1~2日、これらの時間をブロックするだけでも、私たちの「絶好調」感は大きく変わる。
アップタイムをがわかっていると、「私は物事を本当にやり遂げる時間があることがわかっている!」という気持ちになるため、作業が遅れてもストレスを感じにくくなる。アップタイムを意識的に設定することで、時間とエネルギーの両方をマッチさせ、卓越した実行力を確保することができる。
- 心理学の研究よれば、私たちはみな「現在の自分」と「未来の自分」との間に断絶を抱えていることがわかっている。たとえば、2週間の休暇から戻った日にミーティングの予定を頼まれて、「もちろんOK!」とだけ思ってカレンダーに書き込み、そのミーティング当日に自分がどのような感覚になっているかを想像することはない。
そのため、計画を立てる際は、今の自分のために計画を立てるのではなく、常に未来の自分のために計画を立てたい。「未来の自分は、今の時点で何をすればよかったと思うだろうか?」と問う習慣を身につけることで、スケジュールはよりスムーズになり、優先順位はより明確になり、アウトプットはより効果的になる。
具体的には、以下のような質問も有効である。
「来週の4時間の会議の後、未来のあなたは何を予定に入れておけばよかったと思うだろうか、あるいは予定を入れなければよかったと思うだろうか?」
「年末に、もっと時間をかけておけばよかった、あるいはもっと時間をかけなければよかったと思うことは何だろうか?」