今週の小ネタ:クレアチン+カフェインが運動にも脳にも効く? ステータスが上がると人は幸せになるのか?“やせてるのにメタボ”になりやすい人とは?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
クレアチン+カフェインが運動にも脳にも効く?
毎度おなじみクレアチンサプリについて、「カフェインと組みあわせると筋肉の持久力が増えて、頭も良くなるかもだぞ!」って報告(R)が出ておりました。
どんな研究だったのかと言いますと、
- 筋トレ好きな男性アスリート12名(平均22歳)を集める。
- みんなに、ベンチプレスとレッグプレスの1RMの70%で、筋肉がもう動かないレベルまでトレーニングをしてもらう。
- その際に、1)クレアチンだけを1日5グラム飲む、2)カフェインだけを1日400mg、3)クレアチン5グラム+カフェイン400mgを飲む、4)マルトデキストリン5.4グラムを飲む(プラセボ)という4パターンの介入を実施。それぞれを筋トレの約45分前に摂取した(ウォッシュアウト期間は7日間)。
- その上で、以下のポイントをチェックする。
持久力のパフォーマンス:30秒間の全力ペダリング量、平均パワー、最小パワー、ピークパワー、疲労度
認知機能:ストループ色彩・単語テストの合計得点とその下位項目(単語テスト、色彩テスト、単語-色彩テスト)の得点
ってデザインになります。クレアチンとカフェインを組みあわせたら、持久力と脳の機能がどうなるかを調べたわけですね。
すると、結果は以下のようになりました。
- 持久力のパフォーマンスに関しては、カフェインまたはカフェイン+クレアチンのサプリは、ベンチプレスの反復回数をプラセボよりも増加させた。
- 脳の機能に関しては、カフェイン+クレアチンのサプリは、カフェインだけを飲むよりも単語色彩テストを改善した。ただし、統計的に有意な時間×交互作用効果が認められたので、この結果はそこまで当てにならないかも。
って感じで、個人的には「いまいち信頼性に欠けるデータだなぁ」とは思いつつも、クレアチン+カフェインの組み合わせは良いかも!とか思った次第です。私としては、カフェインのサプリを飲むよりは、普通にコーヒーを飲むほうが良いんじゃないかなーって感じですが。
ステータスが上がると人は幸せになるのか?
「社会的な地位が高くなると、私たちは幸せになれるのか?」って問題を調べたデータ(R)が出ておりました。
ここで研究チームは、3,500人以上の男女を対象にした10件の実験を実施。社会的な地位の高さと幸福感の関係を掘り下げたんですな。
でもって、まずは大きな結論をざっくりまとめると、以下のようになります。
- 多くの場合、より高いステータスを得たところで人間は幸福にならない。
たいていの人は、どれだけ社会で高い地位についたとしても、目立って幸福度は上がらないって結論らしい。研究チームいわく、
グループ内での地位は、しばしば権力と結びつけられるが、地位が高ければ支配感や影響力が増すというわけではない。
たとえそうだとしても、それで幸せにはなれないということだ。
とのこと。地位や権力が高まっても幸せになれない理由は、いくつかありまして、
- 大きな地位や権力を持つと、それと同時に責任も重くなってしまう。そのプレッシャーで幸福度が低下する。
- ステータスを求めることには中毒性があるため、ある集団でより高い地位を獲得し、そのことに満足感を覚えると、たいていの人は他の集団でもより高い地位を追い求めるようになる。そのため、いつまでも幸福になれない。
みたいな原因が言われておりました。地位には大きな責任がともなうし、多くの人は、会社で昇進しただけに飽き足らずに、慈善団体の理事を目指したり、趣味のコミュニティのリーダーを目指したりしはじめるんで、そのせいで幸福度が上がっていかないんだってことですね。確かに、高い地位を得た人がステータスジャンキーみたいになっていく様子は、よく見かけるかもしれないですね。
そのため、この研究チームは、地位を上げて幸せを得るための方法として、
- 自分にとって最も重要な分野に地位を集中させよ!
ってアドバイスを提案しておられます。自分にとって重要じゃない領域で高いステータスを求めても不幸を招くだけだから、重要なところにだけ地位を求めようってことですね。
研究チームいわく、
職場であれ社外であれ、その集団が自分のアイデンティティの中心にあるのなら、その集団における自尊心や受容感が高まり、人はより幸福を感じるようになる。しかし、人々にとってあまり意味のない集団では、その中でより高い地位を得ても、幸福感にはほとんど違いがない。
問題は、自分のグループの重要性、その中での自分の立ち位置はどの程度重要なのか、ということだ。
ってことでして、とにかく自分にとって大事なグループ内だけで地位を高めよう!って視点が強調されておりました。まぁ、自分では意味を感じられないような仕事で昇進するよりは、我が子が所属するサッカーチームのコーチになるほうが嬉しいって人は多いでしょうからね。
当たり前と言えば当たり前の結論なんですが、これは意外と多くの人がハマりやすい心理の罠なんで、自分がハマっていないかどうかをチェックして見ると良いでしょう。
“やせてるのにメタボ”になりやすい人とは?
体内時計が夜型の人は、“やせてるのにメタボ”な状態に注意しようぜ!みたいな研究(R)が、岡山県立大学などの先生方から出ておりました。
“やせてるのにメタボ”ってのは、見た目はやせているのに栄養素の代謝やホルモンの分泌に異常がある状態のこと。見た目が痩せていても、実は体脂肪率が高く、逆に筋肉の量が少ない人にありがちな現象であります。日本だと若い女性に多いことが報告されてまして、問題を引き起こしやすいことがわかっております。
この問題には、一般に夜型の生活パターンが関わっているとされてまして、夜型の人は食習慣が乱れやすいし、身体の活動量が低下しやすいし、睡眠時間も短くなりやすいしで、クロノタイプが夜型な人ほど“やせてるのにメタボ”な状態になりやすいと考えられているんですよ。
というわけで、研究チームは、日本の女子大学生251人を集めて、クロノタイプと食事、運動量、体重などをチェック。これをもとに体内時計と体型の関係を調べたところ、結果はこんな感じになりました。
- 体脂肪率は、夜型の学生が29.9±4.8%、非夜型の学生は27.3±5.5%で、夜型のほうが高い。
- 筋肉量も、夜型の学生のほうが少なかった。
- 夜型の学生は、身体の活動量も有意に少なかった。
- 夜型の学生は、タンパク質の摂取量も少なかった。
ってことで、やはり夜型の人は運動量も少ないせいで、筋肉量が減ってしまう可能性があるらしい。
研究チームいわく、
クロノタイプが夜型の大学生は、身体活動量が少なく、体脂肪率が高くて筋肉量が少ないことが示唆された。若年女性の適切な体組成の維持のために、それぞれのクロノタイプに特化した手段を使う必要があるのではないか。
とのこと。これはあくまで女性を対象にしたテストですが、男性でも“やせてるのにメタボ”な人はよく見かけますんで、夜型な方は特に気をつけたほうが良さそうですね。