筋トレに変化は必要か?実験結果が示す効果の違い
「筋トレは多様性が大事!」みたいな考え方があるわけです。
たとえば、いつもはバーベルのベンチプレスをやっている人が、次の週はダンベルのベンチプレスやインクラインベンチプレスに変えてみると、胸の筋肉に異なる刺激が加わり、筋肉が成長しやすくなるよーって話ですな。筋肉はすぐに同じ刺激に慣れてしまうので、いろんなバージョンのトレーニングをすることで、成長スピードが上がるって考え方であります。
このテクニックについては、個人的に「支持するデータも否定するデータもあってよくわからんなぁ……」と思ってるんですが、新しいデータ(R)は、割と否定的な結果が出てておもしろかったです。
これは筋トレ好きな男性21名を対象にした試験で、全体を2つのグループに分けてます。
- ずっと同じメニューのエクササイズをするグループ
- いろんな種類のエクササイズをランダムに行うグループ
どちらのグループともエクササイズは6種類で、それぞれ3セットずつを実施(1セットは6~12RMの範囲)。このトレーニングを週4回行って、どんな違いが出るのかをチェックしたんだそうな。
それでどんな結果が出たのかと言いますと、
- 太ももの筋肉の量、体組成の変化、筋力発達(1RMベンチとスクワット)において、グループ間に有意差はなかった。
- 筋トレに多様性を持たせたグループは、筋トレに対するモチベーションが有意に増加した。
って感じだったそうです。残念ながら、筋トレに多様性を持たせたところで、普通の筋トレと比べて大きな違いが出るわけでもないみたいっすね。
まぁ筋トレに多様性を持たせると、筋トレに対する内的動機は高まるみたいなので、そこは良いところっすね。筋トレの多様性にデメリットはなかったみたいだし、トレーニングをより楽しくする方法としては良いのかもしれませんな。
ただし、この実験のデータをよく見てみると、実は「同じエクササイズをやったほうが良いのかも?」と思ってしまうところもあるんですよ。と申しますのも、両グループの絶対的な変化を見てみると、
- ずっと同じメニューのエクササイズをするグループの方が、大腿直筋の筋肥大が350%、大腿四頭筋の他の2つの測定部位は50%大きかった。
- また、ずっと同じメニューのエクササイズをするグループは、平均して脂肪が少し減少しているにもかかわらず、体重やBMIがより増加していた。
- 筋力の増加についても、ずっと同じメニューのエクササイズをするグループの方が大きかった。
- 一方で、筋トレに多様性を持たせたグループは、体脂肪の増加が大きめに出ている。
って結果だったんですよ。数字の見方によっては、ずっと同じメニューのエクササイズをしたほうが良い気もしてくるんですよね。
こういった現象が起きる理由はよくわからんですが、エクササイズを固定した方が有利なのかもしれない理由としては、
- ダメージが適度なので回復が容易:エクササイズに多様性を持たせすぎると、毎回のワークアウトで新しい刺激があるせいで筋肉がたくさんダメージを受け、そのぶんタンパク質の分解が進んで、回復時間が長くなってしまう可能性がある。
- 進捗のモニタリングと漸進的過負荷の実施が容易:固定されたエクササイズでは、自分の進化を容易にモニタリングでき、それだけ漸進的過負荷を適用しやすくなる。これにより、トレーニングの効果を最大化しやすくなるし、トレーニングの進捗が明確に見えることで、モチベーションの向上にも繋がる。
- 効率的なトレーニング強度の管理がしやすい:エクササイズ種目を固定することで、トレーニングの強度管理がしやすくなるのかもしれない。これは、エクササイズを固定した方が、少しずつ計画的に負荷を上げていけるので、そのおかげで筋力や筋肉の成長を効果的に促進できるのかもしれない。
といったあたりが考えられるかもしれません。こうして見ると、トレーニングに多様性を持たせないほうが良いのかも?って気にもなりますな。私の場合は、最近はいろいろ考えるのが面倒だって理由で筋トレメニューは固定させているんですが、あらためて「今のままでいいや!」って気になりましたね。
まぁ、今回の研究は、筋トレに慣れた男性を対象に8週間行われたものですが、統計的な検出力分析が行われていないため、得られた結果が実際にどれほど意味があるのかは不明。実験によってはまた別の結果が出そうではありますが、とりあえず私は今のままの筋トレスタイルを続けることにしました。