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参加型リーダーシップの真価とは?企業のモチベーションとイノベーションを高める最新型のリーダー像はこれだ!という文献の話

 


近ごろ、マネジメントの世界でよく耳にするのが「参加型リーダーシップ」であります。

 

参加型リーダーシップってのは、会社で上の立場にいる人たちが、従業員に対して「ものごとを決めるプロセスに参加してね!」と積極的にうながすタイプのリーダーシップスタイルのこと。下の者たちを意思決定のプロセスにガンガン参加させることで、従業員の意見やアイデアをピックアップして、問題を解決していくわけですな。

 

一般的には、参加型リーダーシップは次のような特徴を持つとされております。

 

  • 民主的なアプローチ:リーダーが従業員との対話を重視し、組織内の重要な意思決定に従業員が参画できる環境を提供する。これにより、従業員は「自分の目標は会社の目標とつながっているんだ!」と思いやすくなり、コミュニティの一体感が強化される。

 

  • 相互信頼と情報共有:リーダーと従業員が対等に意見を交わし、情報を共有し合いながら意思決定を行う。このプロセスを通じて、従業員は自身の役割を理解し、組織に対する帰属意識や心理的安全性を高めることができる。

 

  • 権限の委譲と支援:リーダーは従業員に仕事の決定権やリソースを与え、自主的に業務を遂行できるよう支援する。これにより、従業員は自分の力で問題を解決し、自己効力感を高められる。

 

近年は、今のように変化が激しい時代では、「参加型リーダーシップこそが最上のスタイルだ!」と考えられてまして、このスタイルを使うことで、より従業員のモチベーションが上がり、そのおかげでイノベーションが促進され、競争力を強化できるとされているんですな。確かに、現代のような状況で、リーダーが単独で正確な意思決定を行うのは難しいでしょうからね。

 

では、このようなリーダーシップは本当に有効なのかってことで、その効果をチェックしたレビュー論文(R)が出ておりました。「参加型リーダーシップ」に関する研究を体系的にレビューして、50件の先行研究をもとに、実際にどれほどの効果があるのかを調べてくれたんですよ。

 

でもって、現時点で最良のデータをまとめた上で、まずは大きな結論から申し上げますと、

 

自律性、協調性、開放性を特徴とする参加型リーダーシップは、従業員に創造的なアイデアや解決策を提供することで、革新的な仕事を促し、最良の意思決定につながる。

 

とのこと。世評のとおり、やはり参加型リーダーシップには明確な効果があるみたいっすね。

 

具体的に、参加型リーダーシップで何が変わるのかと言いますと、ざっくり以下のようになります。

 

  • パフォーマンスアップ:いくつかのメタ分析によれば、参加型リーダーシップは、従業員のパフォーマンスを中程度にアップするとのことで、これはかなり悪くないレベルっすね。

 

  • 従業員のモチベーションアップ:従業員のモチベーションに対しても、参加型リーダーシップで中程度アップするとのこと。特に、従業員が「自分で自分のことをできている!」と思うようになり、「俺はできる人間だ!」と自己肯定感が高まる効果が報告されている。

 

  • 創造性とイノベーションアップ:創造性やイノベーション促進の効果量についても、中程度から大きな効果が確認されているっぽい。参加型リーダーシップは従業員に自己表現や新しい試みを推奨するんで、創造的な行動が促されやすいみたいですな。

 

  • 心理的安全性アップ:参加型リーダーシップは、従業員に「この組織は安全だ!」と思わせる効果は中程度ぐらい。リーダーが従業員の意見を尊重して、積極的に意思決定に参加させるので、従業員は安心感を抱き、ストレスが軽減されるんだそうな。基本的には、この作用が大きそうっすね。

 

こうして見ると、参加型リーダーシップにはかなり見込みがありそうでして、いま部下を指導する立場にある人は、導入を考えてみるべきレベルなんじゃないでしょうか。個人的にも、参加型リーダーシップを使ってくれる上司とだったら働いてみたいっすね。

 

で、上述の研究では、参加型リーダーシップを実践する方法はハッキリ教えてくれないんですけど、いろいろ読んでみると、だいたい以下のポイントを守ってみるのが良さそうであります。

 

  • 意見収集の仕組みを作っとく:定期的に従業員からのフィードバックを収集するための仕組み(アンケート、意見箱、定例ミーティングなど)を導入。特に、組織内での決定やプロジェクトに関連するテーマについて意見を求める態度を見せる。その際、リーダーは従業員の意見を取り入れるだけでなく、フィードバックを基にした行動をちゃんと実践する。

 

  • 意思決定プロセスの共有:重要な決定を行う際には、必ず従業員を参加させる。具体的には、プロジェクトの初期段階からメンバーを巻き込み、役割分担や行動計画のレベルから従業員と一緒に行う​。でもって、仕事を進める時は、従業員に対して一定の決定権を与えて、自分なりの判断で業務を進められるようサポートする。

 

  • オープンなコミュニケーションを奨励する:従業員に対して、失敗や異なる意見を恐れずに発言できるように、常にはげまし続ける。リーダーは絶対に批判的な態度を取っちゃけないし、どんな意見でも良いポイントをピックアップするようにしておく。後は、「ミスやエラーは勉強のチャンスだ!」ってのをことあるごとに言っておいて、いつも仕事に対して新しいアプローチをするように励ましておく。

 

  • 定期的なフィードバックを提供する:参加型リーダーは、従業員の仕事の進捗やパフォーマンスについて、定期的にフィードバックを行い、改善点や成功点を伝える。これをやんないと従業員は成長を実感できないし、モチベーションも上がらないんで。さらに、従業員がなにかを達成したら、その成果をチーム全体で共有するのも大事。

 

ってことで、いま上司の立場にある方は、ぜひお試しくださいませー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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