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DVを起こしそうなヤバい奴を見抜く7つの警告サインはこれだ!みたいな話



DVってのは不思議な現象で、虐待されているにも関わらずなぜか被害者が相手と別れなかったり、せっかく別れたのに、またよりを戻したりするわけです。中には被害者が加害者をかばったりするケースもありまして、周囲から見れば「なんで!?」って気になるわけですな。

 

この問題については、それなりに調査(R)が進んでいて、たとえば以下のような原因が挙げられております。

 

  • 自分が出て行くと「相手の暴力がさらに激しくなるのでは……」という不安。

  • 加害者へ経済的に依存している。

  • 常に貶められたり侮辱されたりしたせいで、羞恥心が強く自尊心が低くなった。

  • 子供と一緒にいたい。

  • 友人や家族からのサポートがない。

  • 「離婚は恥ずかしいことだ」という思い込み。

  • 「パートナーは変われるはずだ!」という思い込み。

 

これらの問題は、周囲から見たら「別れるしかないでしょ!」としか思えないんですが、当人にとってはどうにもならない感覚を与えるんですよね(特に、羞恥心と自尊心の問題は大きい)。

 

ってことで、関係が深まるほどDVから離れづらくなるので、虐待的な人間関係から離れるためには、早い段階で「DVをしそうな相手」のサインを発見しなきゃいけないわけです。誰でも出会ってすぐのころは「良い人」として振る舞うものなんで、そこらへんはかなり難しいんですけどね。

 

そこで新しい研究(R)では、「将来DVを起こしそうな相手のサインを探したぞ!」って調査を行ってくれていてためになりました。DVに関する研究は多いんだけど、たぶんこの問題を調べたものは過去になかったんじゃないかと(あんま詳しく無いので、間違ってるかもしれませんが)。

 

この問題を調べるために、研究チームが何をやったのかと言いますと、ざっくり以下のような感じです。

 

 

最初の調査では、参加者に恋愛関係における虐待行為と非虐待行為の頻度を尋ねた。 2回目の調査では、参加者は6ヵ月後に再び虐待行動について質問された。

 

  • 研究1:平均24歳の男女147人を対象に、いま付き合っているパートナーが見せた行動を調査。ランダムフォレスト分析を使用して、暴力行為(身体的、心理的、性的、および全体的な暴力)を予測する警告サインをチェックしたところ、17の予測因子のリストがDVの分散の61%を占めた。 そのうち16個は「ヤバい奴のサイン」で、1個は「ヤバくない奴のサイン」だった。ちなみに、 この「ヤバくない奴のサイン」は「パートナーが私の能力や意見を評価してくれた」というものだった(そりゃそうでしょうな)。


  • 研究2:平均22歳の男女355人を対象に、研究1で見つかった警告サインが、6ヶ月後の暴力行為の発生を予測できるかを検証。 その結果、「7つの警告サインが、6ヵ月後に起こる虐待全体、身体的虐待、心理的虐待、性的虐待を前向きに予測し、それぞれ分散の54.45%、22.86%、55.15%、45.54%を説明する」ことがわかった。

 

というわけで、付き合った後でDVをしてきそうな人間には明確なサインがあり、これに注意しておけば、ヤバい人間関係に深入りする前に離脱できるかもしれないわけっすね。

 

では、将来DVを起こしそうな相手が見せる7つの警告サインがどのようなものだったかと言いますと、具体的は以下のようになります。

 

  1. 傲慢さや特権意識がすごい:相手が傲慢に振る舞ったり、自分は特別な扱いを受けるべきだと考えたりする。タクシーの運転手さんとかレストランの店員さんに、見下したような態度を取ったりとか。


  2. 性的な事柄に関する不一致や対立:性的な話題や行動について意見が一致しない、またはそれに対して対立することがある。性行為を断ったら、「本当に自分を愛しているなら応じるはずだ」「君は僕のことを理解していない」と言ってきたりとか。


  3. 相手がこちらの気分に関係なく性的行為を行う:自分が気分でないにも関わらず、性的行為を強要する、もしくは相手がその状況を無視することがある。仕事で疲れていると伝えたにも関わらず、相手が「少しだけでいいから」と無理に求めてきたりとか。


  4. 公共の場で不快な状況を作り出す:公の場で相手が意図的に不快な状況を作り出し、こちらを困らせることがある。友人や同僚との集まりの席で、こちらを「君は本当に馬鹿だよね」とからかってきたりとか。


  5. 自分の考えや理論を無視される:自分の論理や意見が相手の考えと合わない時に、それを無視したり、否定したりすることがある。意見交換の際に、自分の考えを述べると、「君は理解が浅いからそう感じるんだ」と言ってきたりとか。


  6. 相手の要求に対して「NO」と言った時のネガティブな反応:相手が何かを求めた時に「NO」と答えると、相手が不機嫌になる、怒る、または悪意のある反応を示す。相手からのお願いを断ると、「君はいつもそうだね」「自分勝手だよね」と責めてきたりとか。


  7. 扱いについて問いただした時の相手の反発:相手がこちらをどう扱っているかについて質問した時に、相手が反発したり、不機嫌になったりすることがある。相手がこちらを怒鳴りつけてきたので「なぜそんな言い方をしたの?」と尋ねると、「君がそんなことを言わせたんだ」「僕を怒らせるようなことをした君が悪い」と責任を転嫁してきたりとか。

 

これらのサインは、最初は無害に見えたとしても、将来的な暴力行為の兆候である可能性が大。関係の初期段階でこれらのサインを認識しておくと、なにかと役に立つはずであります。また、これらのサインは、頻度が多ければ多いほど、または複数のサインが組み合わされば組み合わさるほど、将来のDVリスクは上がるみたいなんでご注意ください。うーん、怖い。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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