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結局、人工甘味料は太るのか?問題

Sweetner

 

昔からいろいろと賛否の多い人工甘味料。「ゼロカロリーだから太らない!」って声がある一方で、「ゼロカロリーなのに太る!」なんて主張もありまして、どう考えていいのか難しいところです。

 

 

そんなわけで、ここでは人工甘味料と肥満の関係について、現時点でのざっくりしたまとめを。 

  

 

短期的にはダイエットに役立つかも

まずは統計データから見てみますと、わりと「人工甘味料とデブには相関がある」って研究が多め(1,2,3)。要は「太ってる人ほど人工甘味料をとるケースが多い」ってことですね。

 

 

ただし、これらの論文はいずれも臨床試験じゃないので、

 

  • 人工甘味料が肥満を引き起こすのか?
  • 太った人が痩せようとして人工甘味料を使いがちなのか?

 

のどっちが正しいのかを判別するのはムリ。ただし、全体的にはこういう傾向があるんだよってことで。

 

 

では、ヒトを使った研究はどうかといえば、たとえば2002年の実験(4)では、参加者にショ糖と人工甘味料を飲み続けてもらったところ、10週間後には人工甘味料グループのほうが体重や脂肪の量が減っていたとか。一方でショ糖のグループは体重も血圧もあがってまして、わりと明確な差が出ております。

 

 

2014年の実験(5)では、1日に約680mlの人工甘味料ドリンクを12週間にわたって飲んでもらったところ、たんに水を飲んだだけの参加者にくらべて、あきらかに体重が減ったんだそうな。他の実験(6)でも人工甘味料に有利な結果が出てまして、少なくとも短期的にはダイエットに役立つ可能性がありそう。

 

 

動物実験の結果を見るとちょっと不安

ただ、ここで難しいのが、当ブログでは何度かあつかっている食事報酬の問題。脳への刺激が強いものを食べると、神経が興奮しすぎる「超常刺激」の状態になって、結果的には食べ過ぎにつながっちゃうって話であります。

 

 

この問題については動物実験のデータが参考になりまして、たとえば2010年の研究(7)では、ブドウ糖をとったマウスよりも人工甘味料を飲んだマウスのほうが体重が増えたとか。別の実験(8,9)でも、ブドウ糖をとったマウスは摂取カロリーが増えなかったのに、ステビアだと食べ過ぎて太っちゃったなんて結果が出ております。

 

 

いずれの研究でも、人工甘味料を飲んだマウスは、もとの食事にもどしたあとも体重が減らない傾向があったそうで、どうも人工甘味料が動物の脳に悪さをするのは間違いないみたい。

 

 

もちろん、この点については、ヒトを対象にした研究はまだ少なめなんで、ハッキリした結論を出すのは難しいところ。しかし、いくつかの実験をみると、

 

  • 人工甘味料を使う量が多い人をMRIにかけたら、脳の興奮レベルが通常より高かった(10)
  • 人工甘味料を使う人ほど扁桃体(感情をつかさどるエリア)の反応が強かった(11)

 

なんて結果も出てまして、人間の脳でもマウスと似た現象が起きてる可能性は意外と高そう。

 

 

まとめ 

そんなわけで、以上の話をまとめますと、

 

  • 短期的(3カ月ぐらい)なら、カロリーのない人工甘味料はダイエットに役立ちそう
  • しかし、人工甘味料は脳への刺激が強いので、長い目でみれば食べ過ぎの原因になるかも

 

といった感じです。わたしもたまにステビアを使ってますが、「超常刺激」の問題は気になるとこなんで、よほど甘味が欲しくなったとき以外は、やっぱひかえていこうかと思う次第です。

 

 

 credit: frankieleon via FindCC


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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