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メンタルの機能が改善する「休日の科学的な使い方」とは?

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休日をうまく使えばメンタルが鍛えられる
以前に「科学的に正しい『休日の過ごし方』」なんて話を書きました。ざっくり言うと、みんな休日が大好きだけど、意外と幸福度を高める役には立たないよーみたいな話です。もちろん、ゴリゴリに働くよりは休んだほうがいいんですけど、思ったほどのメンタル改善効果は期待できないって感じなんですな。


ただ、ここには大事な例外がありまして、

  • 休日に新しい行動をした場合は良い影響が激しくあがる

って傾向があったりします。つまり、せっかく休日が取れたら、いつものリゾート地や安全なツアーに行くんじゃなくて、まったく未知の体験をしたほうが時間を有効に使える可能性が高いわけっすね。







休日に新しい体験をして得られる3つのメリット
で、例によって調べものをしてたら、「休日に新しい体験をするメリット」みたいなのがいろいろ引っかかってきましたんで、軽くまとめておきます。


メリット1.おそらくクリエイティビティが上がる

まずおもしろいのがオランダで行われた研究(1)で、46人の男女が対象。ざっくり言うと、全員に2〜3週間ほど初めての海外で過ごしてもらったら、創造性に変化が出るかどうかを調べた研究であります。


創造性のチェックには「ギルフォードの代替用途課題」って定番のテストが使われていて、「レンガ、タイヤ、スプーンなどの使い方を思いつく限り考えてください」と指示するというもの。すると、旅行先で真新しい体験をしたグループのほうが、拡散思考(いろんなアイデアを思いつく能力)が向上し、大量の答えを生み出すことができたんだそうな。


さらに、シンガポールで行われた実験(2)でも似たような結論で、

  • 異文化に接した体験がある
  • 海外の友だちがいる
  • 外国語を勉強している
  • 他国の音楽や食べ物が好き

といった特徴を持つ人は、教育レベルや収入などに関わらず、オリジナリティが高いアイデアを思いつく傾向があったらしい。異文化に触れて創造性が高まるってのは、直感的にもよくわかる話っすね。


メリット2.感情のコントロールがうまくなる


続いて興味深いのが2013年のワイドナー大学論文(3)で、485人の男女が対象。こちらも、全員に「どれだけ見知らぬ土地に旅行したことがあるか?」とか「異文化体験をしたことがあるか?」といったポイントを調べたうえで回帰分析をしております。


それで何がわかったかというと、

  • 見知らぬ土地に旅行に行く人ほど集中力があり、意志力のコントロールがうまい
  • いろんなシチュエーションにおいて、適切な感情表現と言葉づかいができるケースが多い

って感じだったんですね。なんでも、初めての土地で見知らぬ文化に触れた参加者は、自分の国に帰った後もしばらく適切な感情コントロールを維持し続けたんだそうな。


こういった変化が起きる理由としては、

見知らぬ街や都市、国で時間を使うことで、私たちは自分の不快感に耐えて受け入れるようになる。そのおかげで、よくわからないネガティブな状況でも、自分に自信が持てるようになるのだ。

だそうな。あえて未知の世界に身をさらすと、あいまいな状況にも耐えられるメンタルが育つのではないか?ってことですね。確かに、まったく近代文明とかけ離れた田舎とかに行くと、そのへんの能力は鍛えられてるような気がしますな。


メリット3.共感能力が育つ

人生の成功には共感力が大事!とはよく聞く話ですが、「見知らぬ土地への旅行で育てられるよー」って研究(4)も出てたりします。これは197人を対象にした中国の研究で、新しい国や都市に旅行した前後で、対人能力にどんな変化が出るかを見たんだそうな。


その結果、旅行に出かけた人は、

  • 見知らぬ人への信頼感が増す
  • 嫌なコミュニケーションへの忍耐力が増す
  • 友人や知人への態度が優しくなった

って違いがハッキリ出たんですな。また、上で取り上げたウィディーンアー大学論文でも、やっぱり「見知らぬ土地に行く回数が多い人ほど、性別、年齢、人種などの偏見を乗り越えやすい」って傾向が出てるものおもしろいところです。異文化に触れて他人への共感が生まれるってのは、やはり理解しやすいところですね。


まとめ
そんなわけで、「休日に新しい体験をするメリット」を簡単にまとめてみました。いろんなデータを見てますと、とりあえず休日のメリットを最大化するためには、

  • ちょっと不安になるようなレベルの行動をする
  • 何が起こるかわからないような状況に身をさらす
  • 発見と学習のチャンスがあるものを選ぶ

ってポイントを押さえておくのが大事っぽい。「なんで休暇で不安になんなきゃいけないんだ!」と思われるかもですが、いつも同じような過ごし方をしている場合は、多少の不確実性を導入してみるのをおすすめします。

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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