映画「365日のシンプルライフ」を観たぞ
「365日のシンプルライフ」を観ました。
フィンランドのドキュメンタリーで、23才の監督が、自分の持ち物をすべて手放してみたらどうなるか?を試してみる内容になっております。そのルールは、
- 持ち物をすべて倉庫にあずける
- 1日に1個だけ必要なものを選んで倉庫から持ち出せる
- 1年間は新しい物を買わない
というもの。実験前の主人公は釣りとレコードが好きで、かつての部屋の中はこんな感じだったそうな。
で、持ち物をすべて移動したあとの室内が、こんな感じ。夜のモデルルームに忍び込んだ変態みたいになってます。
そんなわけで、映画は、まず身にまとう物をゲットすべく、主人公が全裸でヘルシンキを疾走するシーンからスタート。
このあたりは非常にバカバカしくてよいのですが、数日が過ぎて服やマットレスなどを持ちだしたあたりから、どんどん映画は失速していっちゃうんですな。それもそのはずで、実験の構造上、もっとも異常な状態から普通の暮らしにもどっていくしかないわけで、一番おもしろいシーンは最初に集中しちゃうんですよね。
それでも、主人公が「なぜタオルが必要なのか?」に関する考察を深めたりとか、「歯ブラシがないから指で磨いてたら爪の間に食べかすがはさまった」といった“ミニマリストあるある”を並べたりしてくれれば楽しく観られるのですが、本作は、逆に主人公が内省的に悩むシーンが淡々と続いていくんですな。
それも、全体的にきちっとカットを割って、構図も決めた状態で撮影してまして、ほとんどフェイクドキュメンタリーに近い感じ。そのわりに、途中で持ち出した物については数字とナレーションでサラッと流しちゃうのも残念。このテーマだったら、「どんな物をどんな理由で選んだのか?」を詳説するのは超大事だと思うんですんが。
で、終盤になると、完全に平凡なアパートにもどっちゃうので、何を見たらいいのやら。
いちおう最後には、
- 生活に必要な物は100個くらい
- その次の100個は、生活を楽しむため
- 物を持つことは責任を負うこと
といった結論は出るものの、なかなかに取ってつけた印象でありました。
基本的にはスタイリッシュな音楽と映像で進んでいく映画でして、「おしゃれシンプルライフ」みたいなテイストが好きな方なら観てもいいのかも。個人的には、かつて電波少年でやってた「懸賞生活」のような、「極限のミニマルライフ」を期待してたので、そこらへんがすれ違ってしまいました。うーん、残念。