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「ストレッチ」は運動のパフォーマンスを下げるが、長期的に筋肉の力をあげるかもよ

Stretch

 

当ブログでは、ストレッチに対してわりと否定的な話を書いております。「ストレッチはケガの予防にならない」とか「体を柔らかくするには筋トレで十分」とか。

 

 

というわけで、さらに今回は「ストレッチは運動の能力を下げるよー」って話でも。

 

 

運動前の静的ストレッチはパフォーマンスを大幅に下げる

まず参考にしたいのが2012年の系統的レビュー(1)で、過去に行われた静的ストレッチに関する106件のデータをまとめて大きな結論をだしたんですね。これによると、

 

  • 1回30秒以下の静的ストレッチは、特に運動能力への影響はない
  • 1回45〜60秒の静的ストレッチは、その後の運動のパフォーマンスをガンと下げる

 

といった傾向があった模様。その原因はよくわかってないんですが、ストレッチで筋肉や腱が伸びたり傷がついてしまい、満足な力を発揮できなくなるせいだと考えられております。伸びきったゴムが元にもどらなくなっちゃうみたいなイメージですかね。

 

 

また、動的ストレッチに関しては2011年の研究(2)がありまして、その結論は「特に運動のパフォーマンスには影響がない」だったそうな。良くも悪くもないみたいですね。

長期的にはストレッチで筋力がアップするかも?

というと、「ストレッチなんていらないじゃん!」って話になりそうですが、いっぽうでは「定期的なストレッチは運動能力をあげるかも?」ってデータもあるのがおもしろいところです。たとえば、

 

  • ストレッチに関する22件のデータをまとめた系統的レビューでは、定期的なストレッチには長期的に運動のパフォーマンスをあげる効果があることがわかった(2004年,3)
  • ストレッチと筋力に関するデータをまとめた系統的レビューでは、定期的なストレッチには、長期的な筋力を改善する効果があることがわかった(2007年,4)

 

といった感じ。つまり、ストレッチは短期的には運動の能力を下げるけど、長期的には筋力をアップさせる効果があるわけですね。

 

 

なんとも不思議な話ですが、こういった現象が起きるのは、ストレッチで筋肉に傷がつくのが原因と考えられております。傷が増えたせいで逆に筋肉の修復度が高まり、結果として筋力がアップするんですな。

 

 

まとめ

以上の話をまとめますと、

 

  • 運動の前はストレッチはしない。普通にジョギングなどでウォームアップすれば十分
  • 筋トレの後やオフの日にストレッチを行うと、長期的に筋力がアップする
  • ただし、筋トレ後にストレッチをしすぎると、筋肉へのダメージが大きくなりすぎる可能性があるので注意

 

といったところです。あくまでストレッチは筋トレの後にやったほうがいいよーってお話でした。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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