孤独が早死にを引き起こす6つの理由
ここんとこ心理学の方面でよく見かけるのが「孤独」に関する研究。孤独感が大きい人はメンタルだけでなく健康状態も悪化しちゃうって話で、一説には「タバコと同じぐらい体に悪い」ってデータもあったりとか。
というわけで、ここ数年に出てきた、孤独と健康に関する研究をまとめてみます。
1 孤独な人は早死にする
2015年にブリガムヤング大が行った研究(1)で、過去に出た70件のデータをメタ解析したところ、
- 孤独感は死亡率を26%高める
- 社会からの孤立は死亡率を29%高める
- 一人暮らしは死亡率を32%高める
って結果が出たらしい。この数字は、ほぼ肥満の死亡リスクと同じなんだそうな。
2 孤独な人には認知症が多い
2012年のデータ(2)によれば、孤独感が強い人ほど認知症になる確率が高かったとか。ただし、ここで重要なのは「孤独感」で、実際に友人が多いかどうかとは関係がないとのこと。孤独が認知症を引き起こすのではなく、認知症が孤独感を生む可能性もあるわけですねー。
3 孤独な人は栄養状態が悪い
2013年に行われた調査(3)では、50代を超えても1人で暮らしている人は、パートナーがいる人にくらべて野菜をとる割合が少なかったらしい。孤独感を埋めようとして、すぐに安心感が得られるお菓子やジャンクフードに手を出しちゃうのが原因とのこと。
4 孤独な人は全身に炎症が起きる
2011年の論文(4)によれば、ずーっと孤独感を抱えたままの人は、遺伝子の発現に違いが出てしまい、細胞に慢性的な炎症を起こすんだそうな。慢性炎症は、うつ病や心疾患、肥満、アレルギーなどの原因になりますんで、結果として死亡率も高くなっちゃうみたい。
5 孤独な人は睡眠の質が下がる
2011年の実験(5)で95人の参加者をしらべたところ、孤独感のスコアが高かった人ほど睡眠時間が短く、夜中に起きてしまう傾向が強かったそうな。この現象は普段のストレスや不安感とは無関係で、孤独感が睡眠をジャマする理由は不明とのこと。
6 孤独な人は実際に体が痛む
「心が痛い」って比喩がありますけど、孤独な人は本当に体に痛みを感じちゃう。2003年の実験(6)によれば、孤独感は脳の前帯状皮質に刺激を与えて、現実の痛みに近い感覚を生み出すんだとか。しかも、その痛みをやわらげるために脳内麻薬まで分泌されるというから驚きですな。
まとめ
というわけで、「孤独」が健康に与える悪影響を見てみました。わたしのように友人が少ない人間には恐ろしげなデータですが、いずれの実験でも本当に問題なのは「孤独感」であるとこにご注意ください。あくまでも本人が孤独を抱いてるかどうかがポイントで、友人が少なくても寂しさを感じてなければノープロブレムであります。
ちなみに、以前にも書いたように、「孤独感」を捨てるためにコミュニケーションスキルを磨くのは時間のムダ。「孤独感」の根っこには、「自分のことなんて誰も気にしてない…」という間違った考え方があるので、まずは認知行動療法を使ってみたほうがよいと思われます。