「同性愛は病気ではない!本当に治療が必要なのは同性愛差別者のほうだ!」という研究結果
「同性愛差別には精神病質と関連が!」って興味深い論文(1)が出ておりました。
他者への嫌悪と精神病の深い関係
これはイタリアの研究者による実験で、560名の学生を対象に同性愛嫌悪と心理的な障害の関係を調べたもの。まずは全員のメンタルヘルスをDSM-5 (精神疾患の診断マニュアル)でチェックしたうえで、以下の質問紙に答えてもらったんですね。
- ホモフォビア尺度:同性愛者が嫌いかどうかを判断する
- 防衛スタイル測定尺度:不快な状況になったとき、どんな行動を取りやすいかを判断する
- 症状チェックリスト:精神病の兆候があるかどうかを判断する
ここで大事なのが、2番めの「防衛スタイル」であります。ヒトは誰でも独自の防衛スタイルを持ってまして、嫌な相手と会話をしなきゃいけない状況などでは、それぞれの人格によって違う対処法を使うんですね。具体的には、
- 成熟した防衛スタイル:感情を表には出さず、ユーモアなどでやり過ごす。
- 神経質な防衛スタイル:相手の嫌な面から目をそらし、悪い面を「なかったこと」にする。
- 未熟な防衛スタイル:本当は自分が敵意を持ってるのに、「相手は自分を嫌ってる!」と思い込む。または、暴言や暴力に訴える。
といった感じ。とくに未熟な防衛スタイルは精神病と結びつきやすく、メンタルヘルスの良い指標になるんですな。
同性愛者を嫌う人ほど精神病質傾向が強い
で、全員のデータを統計処理したところ、
- 女性よりも男性のほうが同性愛嫌悪は多い
- 同性愛を嫌う人ほど未熟な防衛スタイルを使う
- 神経質な防衛スタイルは同性愛嫌悪とは関係がないが、うつ病になりやすい
- 同性愛を嫌う人ほど精神病質傾向が強い
ってな傾向が出たらしい。「精神病質傾向」は精神病にかかりやすい人格のことで、
- 敵対心が強い
- 被害者意識が強い
- 道徳性が低い
- 一般常識を無視しがち
といった特性を持っております。この人格がエスカレートすると、統合失調や双極性障害に進んじゃう可能性が高いと言われてるんですね。
こういった現象が起きるのは、精神病質傾向の人は他者への恐怖感が強いから。基本的に周囲の環境にビクつきやすい傾向があるため、
- 性的マイノリティへに不安を抱く
- 被害者意識のせいで不安が「怒り」に変わる
- 防衛スタイルが未熟なため、「相手が自分に怒っている!」と思い込む
- 「相手が怒っているから、自分も敵意をむき出しにしてOK!」と思い込む
- 同性愛差別の誕生!
といった心理が働くらしい。心の底では不安と恐怖でいっぱいなわけですね。
研究者いわく、
「同性愛は病気か否か?」という議論が数世紀にわたって行われてきた。しかし、本当に治療が必要なのは同性愛嫌悪である。同性愛嫌悪は深刻な精神病と結びついている事実が、今回の調査で初めて明らかになったのだ。
とのこと。なかなかズバッと言い切ってますねぇ。
もちろん、この研究には限界がありまして、
- 18〜30才の年齢層しか調べてない
- 宗教の差が考慮に入ってない
- そもそも「精神病質傾向」の定義には批判も多い
といった難点をご理解いただいたうえで、「そんな傾向もあるのかなー」ぐらいにとらえていただければ幸甚。とりあえず、わたしは気を抜くと神経質な防衛スタイルを取りがちなんで、成熟した防衛スタイルを意識して暮らすことにします。