フルーツにふくまれる果糖は食べ過ぎを加速させるのか?
果糖と食べ過ぎに関するご質問をいただきました。
果物は太らないとの記事を読ませていただきました。果物はダイエットに効くとのことでしたが、「フルクトース(果糖)は満腹感を得にくく、食べ過ぎにつながることが判明」(1)との見解もあるようです。どう考えればいいのでしょうか?
とのこと。果糖は脳の満腹中枢を刺激しないので、逆に食欲が増す可能性もあるのではないか?という疑問ですね。
ご指摘の記事は2013年の実験(2)をベースにしてまして、参加者に果糖を飲んでもらったら脳の快楽中枢が強く反応し、「もっと果糖が欲しい!」という気持ちになったというもの。当時は、海外メディアでも「果糖が食べ過ぎの原因に!」なんて見出しが出たのを記憶してります(3)。
ただし、このデータが普段の食事に当てはめられるかといえば、ちょっと疑問だったりします。というのもこの実験で使われたドリンクが、
- 300mlの水に75gのグルコースで甘味をつける
- 300mlの水に75gの果糖で甘味をつける
といった感じなんですね。つまり、
- いちどの食事で75gもの果糖を一気に摂るケースはまずない
- 実生活で果糖だけを摂取する場面はない
って問題があるんですよ。以前にも書いたとおり、お菓子やジュースに使われる果糖ブドウ糖液糖でもブドウ糖と果糖の割合はほぼ半々ですしね。
そこで、もっと現実に近いのが2007年の実験(4)。果糖ブドウ糖液糖(果糖55%、ブドウ糖45%)とスクロース(果糖50%、ブドウ糖50%)の差を調べたデータなんですが、最終的には「どちらも満足感は変わらない」って結論になっております。
もちろん、果糖の甘味が脳を刺激しやすいのは確かなんでしょうし、フルーツの食べ過ぎがよくないのも間違いないところでしょう。ただし、いっぽうでハーバード大の研究(5)によれば、適度なフルーツなら糖尿病のリスクが下がったりもします(特にブルーベリーとリンゴがいいらしい)。加工食品や清涼飲料水ではなく、フルーツとして果糖を摂るぶんにはなんの問題ないでしょう。
そんなわけで、果糖がトラブルを起こすのはあくまで加工食品の話。カロリーの質が高い食品から摂取している限りは、逆に健康にもよろしいかと存じます。