一流の心理学者による「目標達成のための4つの基本テク」がよろしいですなぁ
毎年1月になると、多くの専門誌で「新年の目標を守る方法!」みたいなレポートが出るんですが、今年は心理学誌に出た記事(1)が良かったですねぇ。
著者は「GIVE & TAKE」で有名なアダム・グラントやニューヨーク大のピーター・ゴルビツァーなど。いずれも当代一の心理学者であります。
このレポートは、「健康な習慣を身につけるにはどうすればいいの?」って疑問について、科学的に信頼がおけるテクニックだけを選び抜いたもの。目標達成のための基礎的な方法が取り上げられているんで、運動やダイエット以外にも幅広く使えるかと思います。
1.行動を起こすモチベーションがわかないときは?
習慣を変えるにはモチベーションが大事。うまくやる気を出すには、自分の行動が他人に与える影響について考えるのが有効であります。
グラント教授が2011年に行った実験によれば、
- まめな手洗いはあなたを病気から遠ざけます。
と医師やナースに警告した場合よりも、
- まめな手洗いは患者を病気から遠ざけます。
と伝えたほうが、実際に手を洗う確率が45%もアップしたんだそうな。
こういった違いが出るのは、大半の人は自信過剰な傾向があるから。「自分だけは運動しなくても問題ない!」などと思いがちなせいで、どうしてもモチベーションが上がらないんだそうな。
「わかっちゃいるけどやる気が出ない!」というときは、「痩せれば自分がかっこよくなる」ではなくて「痩せれば妻が喜ぶ」のように考えなおしてみるとよさげ。他人のためにやると思うのが大事なようです。
2.決めた行動を実行に移せないときは?
続いて、決めた行動を実行に移せないケースについて。レポートによれば、「新しい習慣を身につけるぞ!」と決めたとしても、そのうちの約50%しか実行に移さないんだそうな。ありがちな問題ですねぇ。
ここでイチオシなのが、当ブログでもおなじみの「if-thenプランニング」であります。
- もしXが起きたらYをやる
といった形式で事前に計画を立てておく方法で、シンプルながら多くの研究で効果が実証されているんですな。たとえば、「10時に自宅にいたらクスリを飲む」と計画を立てた患者さんは、79%が実行に成功したんだとか(何もしなかった患者さんは55%)。
おそらく心理学的には最強のテクニックなんで、ダマされたと思って使って欲しいところ。もちろん、わたしも愛用しております。
さらに具体的には、以下のエントリを参照くださいませ。
3.古い習慣がジャマするときは?
たとえ朝にスムージーを飲む習慣が実行できても、その後にコンビニでポテチを買う習慣が続いていたら意味がありません。古い悪習を打ち破るためにおすすめなのが、以下の2つの方法です。
1.キューを変える:
キューとは、自動的に習慣を実行するきっかけになる物事のこと。たとえばコンビニを見かけるとついポテチを買っちゃう場合は「コンビニ」がキューですし、仕事に詰まるとタバコを吸っちゃう場合は「仕事に詰まる」がキューになります。
つまり、ポテチを止めたいならコンビニを避けて移動すればOKだし、タバコを止めたいなら仕事の環境を変えてみるのが吉。とにかく悪習を引き起こすキューを見極めるのが大事であります。
2.わざと障害を作る:
前もって悪習に取りかかりにくくしておく方法。
たとえばタバコを止めたいならライターを捨てておくとか、ネットのやり過ぎを止めたいならルーターの電源を切っておくとか、とにかく悪習に必要なステップを難しくするのがポイントであります。タイマーロック付きのコンテナを使ってみるのもありでしょうねー。
4.新しい行動を習慣にしたいときは?
「if-thenプランニング」で目標が実行できたら、今度は行動を習慣にしたいもの。そのためにおすすめなのが「コンテクストの固定」であります。
レポートの例だと、夕食のあとウォーキングに出かける作業をくり返せば、やがて考えなくても散歩するようになっていくとのこと。行動が習慣になるまでの時間は幅が広すぎて断言できないものの、いったん自動化されてしまえば、どんなジャマが入っても問題はなくなるそうな。
このあたりは、行動経済学者のダン・アリエリーがおすすめする方法にも近いものがありますねー。とにかく自分の意志力はあてにせず、同じ環境や時間帯に同じ行動をくり返すのが大事。
まとめ
そんなわけで、現代の心理学が認める目標達成法でした。すべてを一気にやるのは大変なんで、まずはif-thenプランニングを身につけておくと後がラクかなーと思います。