女性がパレオダイエットを実践するときに注意したい3つのポイント
「女性がパレオダイエットを試すときに注意することはありますか?」とのご質問をいただきましたんで、ちょっと考えてみたいと思います。
といってもパレオダイエットでは基本的に性別の差を気にする必要はないですが、男性より女性のほうが栄養バランスの変化に敏感なのも確かなんで、そのへんをまとめていこうかと。
女性が影響を受けやすい要素1.摂取カロリー
女性は体脂肪をたくわえねばならないため、男性よりもカロリーの変動に敏感であります。低カロリーは体へストレスをあたえるため、食事量が少ない状態が続くと、
- 生理不順:ホルモンの変動によって体内のリズムが変わっちゃうのは有名な話。
- 骨がスカスカに:栄養が足りないせいで、全身の骨がボロボロになっていきます。
- 摂食障害:こちらもホルモンの変化により食欲が激変。普通の食事ができなくなっていきます。
といった不調が起きてきます。以上の3つは女性アスリートの間では有名な症状で、「三主徴症候群」なんて名前もあったり。いずれも甲状腺ホルモンや性ホルモン、ストレスホルモンの異常が原因ですね。
とくに運動量が多い女性は低カロリーの悪影響を受けやすく、甲状腺ホルモンの低下により肌がボロボロになったり、慢性疲労が襲ってきたり、しつこい便秘に悩まされたりと、あらゆる不調に悩まされちゃうみたい(1)。
ちなみに日本の20代女性の平均摂取カロリーは1日1,628kcalだそうですが(2)、これはちょっと低すぎかと。一般的な計算式で消費カロリーを計算すると、日ごろ運動をしない女性でも1日2,000kcalぐらい行ったりしますからねぇ。「あれ?1日の消費カロリーより食べてないのに痩せないぞ?」と思った場合は、すでにホルモンに悪影響が出てる可能性も大であります。
モデル並みの体脂肪率を目指すなら厳密なカロリー制限が必須ですが、たいていの女性にとっては労多くして功少なしなのでおすすめしません。それよりは、カロリーの質が高い食事で脳のセットポイントを自然に下げていくほうが体にやさしいですし、気分よく過ごせるかと思います。
女性が影響を受けやすい要素2.低糖質な食事
一般的には男性よりも女性のほうが糖質の影響を受けやすく、炭水化物が多すぎても少なすぎても体に害が出てきます。というのも、糖質によって分泌されるインスリンには、女性の体に「栄養が足りてるから安心してね!」とメッセージを送る働きがあるんですよ(3)。
そのため、糖質制限も女性のホルモンバランスを崩す可能性が高く、男性よりも糖質制限ダイエットに向いてないケースが多め。とくにケトーシス状態で悪影響が出ちゃう方は多いようなのでお気をつけください。
まぁパレオダイエットは糖質制限じゃないので、炭水化物を減らして問題が出た場合は、すみやかに安全な糖質を増やせばOK。総摂取カロリーの20〜40%ぐらいを目指していただければ問題ないかと思います。
ただし、いっぽうでは糖質のとり過ぎがダメなのも間違いないところ。2014年のレビュー論文(4)によれば、インスリンの分泌量が多すぎるとPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)が起こり、不妊の原因になることが示されております。
そんなわけでインスリンは多すぎても少なすぎてもNGですが、決してコントロールは難しくありません。パレオダイエットが推奨する安全な糖質やカロリーの質が高い炭水化物を食べていれば、大きく外すことはないかと思います。
女性が影響を受けやすい要素3.低脂肪な食事
現在の科学では「低脂肪には意味がない!」って見方が主流。もちろん女性にとっても低脂肪な食事は悪影響が大であります。
なにせ飽和脂肪は性ホルモンの減量になるんで、低脂肪食は生理不順につながっていくんですね。研究例をあげますと、
- 12人の女性を調べたところ、脂肪を制限している人ほど無月経や排卵障害が多かった(1999年,4)
- 21人の女性を調べたところ、いくら摂取カロリーが満たされていても、脂肪の量が少ないと生理不順が起きた(1998年,5)
- 生理不順に悩む女性を調べたところ、生理が順調な女性にくらべて5割も脂肪の摂取が少ない傾向があった(1998年,6)
といったところ。ちゃんとカロリーを摂っていても、脂肪が少ないと不調が起きてしまうわけですね。
ちなみに、積極的に摂るべき脂肪については、「健康に良いベストな油・脂肪」と「カロリーの質が高い脂肪とフルーツを食べよう!」をどうぞ。なかでも重要なのはオメガ3脂肪酸で、1995年の実験(7)でも、体内のオメガ3量が多いほど生理痛が軽かったそうな。徹底的にオメガ6を減らしつつ、オメガ3のバランスを改善していだだければと思います。
まとめ
そんなわけで、パレオダイエットを行う女性に向けた注意点でした。基本的には男性よりも3大栄養素のバランスが大事なんで、「パレオな食事法」で紹介したデータを参考に1日の摂取量を決めていただければよいかと。