オメガ3を摂り過ぎると一気に老化が速まっちゃうので注意してね、みたいな話
フィッシュオイルは両刃の剣
「魚の油が体にいい!」というのは有名な話で、実際の臨床データも多いんですが、いっぽうではオメガ3脂肪酸は酸化に超弱いのが難点。その意味で、フィッシュオイルは両刃の剣と申せましょう。
で、近ごろチェックしたデータ(1)では、そのへんについてガッツリと調べてくれてておもしろいです。
これはサンパウロ大学の研究者らによる実験で、「フィッシュオイルの量によって効果に違いは出るの?」を確かめたもの。まずは38匹のマウスを以下の5グループにわけたんですね。
- 体重の63%にあたる果糖を摂らせたうえで、2%のフィッシュオイルを飲む
- 体重の63%にあたる果糖を摂らせたうえで、5%のフィッシュオイルを飲む
- 体重の63%にあたる果糖を摂らせたうえで、7%のフィッシュオイルを飲む
- 体重の63%にあたる果糖だけを摂る
- いままでどおりの食事をする
つまり、大量の果糖で肝臓にダメージをあたえたうえで、フィッシュオイルの量を変えてみたわけです。
フィッシュオイルの摂り過ぎで炎症物質が増える
すると、60日後の結果は、
- 2〜5%までのフィッシュオイルを飲んだグループは、中性脂肪や脂肪肝の数値が下がった
- ところが、7%のフィッシュオイルだと逆に脂肪肝が悪化した
って感じだったんですね。2〜5%までは順調に数値が改善するんだけど、7%を超すと一気に逆影響が出ちゃったらしいんですな。ちなみに、7%のフィッシュオイルを人間に換算すると、1日5gぐらいになる計算であります。
その原因は明白で、フィッシュオイルの摂り過ぎが体内の炎症を増加させちゃうから。具体的には、以下のグラフの「TNF-α」をご覧ください。
1つだけ棒グラフが飛び出しているのが、7%のフィッシュオイルを飲んだグループであります。フィッシュオイルを飲まなかったグループよりも、激しく状態が悪化してますね。
TNF-αは身体に炎症を起こすサイトカインの一種で、適量なら腫瘍をやっつけてくれるありがたい物質。ところが分泌量が増えすぎると体に大火事を起こし、老化スピードが上がる原因になってしまうんですね。
どうやら、フィッシュオイルを飲み過ぎると体が処理しきれなくなり、あまったぶんが体内で酸化ダメージを受けて腐敗。その結果、体内に炎症を引き起こしてしまうみたい。なかなか難しいもんです。
もちろんこれはマウス実験ですが、過去の研究(2)では、1日2g以上のフィッシュオイルを飲んだアスリートは酸化ストレスが増加。逆にパフォーマンスが低下したなんて結果も出てますんで、どうもフィッシュオイルの摂り過ぎにはかなり気をつけたほうがよさげ。
実際のところ、フィッシュオイルの上限値ってのはハッキリしてないんですが、とりあえず1日2gまでを上限にして、心配な方は1gまでにしとくといいかも。いずれにせよ、オメガ3は魚で摂ったほうが安全なのは間違いないですし、サプリを飲む前にオメガ6を減らすのが大前提なので、そのへんは重々ご注意のうえお使いください。