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人生が生きづらい人に送る「セルフコンパッション」を鍛える6つのトレーニング例

Compassion

 

人生を生きやすくする「セルフコンパッション」のすすめ

こないだ「自信なんかよりもセルフコンパッションが大事だ!」って話を書きました。そもそも自信は生まれつきの要素が大きいうえに、自信なんかあっても役に立たないってデータが多いんですよね。

 

 

そのかわりに、ここ10年ぐらい心理学の世界でよく聞くのが「セルフコンパッション」の概念。要は「自分に優しくしよう!」みたいな話であります。くわしくい概念については「まずは「セルフコンパッション」から鍛えるべし」をご覧ください。

 

 

セルフコンパッションについてはここ十数年でだいぶデータがそろってまして、幸福感の増加につながるのは間違いなさそう。当ブログでも「ダイエットの前にセルフコンパッションだ!」って話を書いてたりしますが、さらなるデータがご希望であればクリスティン・ネフ博士の「セルフコンパッション」をどうぞ。

 

 

 

ってことで、いろいろとセルフコンパッションの介入実験を読んでたんですが、2014年のデータ(1)は、具体的なトレーニング法についても詳しく触れられていてなかなか面白いんですな。

 

 

これは27名の男女を対象にセルフコンパッション訓練を行った実験で、3週間後には全員のマインドフルネスレベルと楽観性、自己効力感などが激しくアップしたというもの(ただし、人生の満足度や不安感は変わらなかったみたいですが)。



 

 

 

セルフコンパッションを鍛える6つのトレーニング法

実験で使われた具体的なトレーニング法は、以下のとおりです。

 

  • コンフォートカード
    • まずは自分がツラかった体験を思い出し、そのときに頭にわいた批判的なセリフ(「俺はダメなやつだ…」みたいなやつ)を茶色のカードに書き出す。
    • その批判的なセリフに対し、自分にかけてやれる優しい言葉か、自分が取れる行動を考える。
    • 優しい言葉か行動の内容を色が鮮やかなカードに書き出し、コンフォートカードを作る。
    • コンフォートカードを3週間持ち歩き、自分に批判的な言葉が頭に浮かんだら、そのカードを見るようにする。

 

  • インターベンション・ブレスレット
    • 簡単に腕から取り外せるブレスレットを買う(安いゴムバンドでも可)
    • 何か不安なことが起きたり、自分に批判的な思考が浮かんだら、右手にはめていたブレスレットを外して、左手につけかえる。
    • 嫌なことが起きるたびに、ブレスレットを別の腕につけかえればOK。これは「いま自分が不快感を覚えた!」という事実にちゃんと気づくためのテクニックで、これだけで不快感が減るケースも少なくないとか。

 

 

  • セルフコンパッションフレーズ
    • 自分に優しくしてやるためのフレーズを、あらかじめ用意しておく方法。具体的には、以下の3つのパターンで作るといいそうな。
      • マインドフルネス系フレーズ:「いま、わたしは心に苦しみを感じている」みたいに、自分の現状への認識をうながすフレーズ。
      • 人間性に関するフレーズ:「人間ならみんな苦しいときはある」のように、自分の苦しさを特別視しないためのフレーズ。
      • 自分へのいたわり系フレーズ:「わたしは自分に優しくできる」のように、自己批判をやわらげるためのフレーズ。
    • なんか辛いことがあったり、自分に批判的な言葉が浮かんだら、セルフコンパッションフレーズを頭のなかで唱えてみればOK。

 

  • コンフォートジェスチャー
    • 自分の気分が落ち着くような行動やジェスチャーを用意しておく。以下、具体例。
      • 心臓のうえに手を当ててみる
      • 自分の腕を優しくなでてみる
      • 耳たぶをマッサージしてみる
    • シンプルなジェスチャーでも、実際に副交換神経が活発化し、セルフコンパッションの気持ちがわきやすくなることがわかっているそうな。

 

  • コンパッション日記
    • 専用の日記帳を用意し、その日にどれだけセルフコンパッションのテクニックを使えたかを記録していく。
    • つらい体験や思考に苦しんだ場合は、その体験を後からセルフコンパッションの視点から再解釈してみる。
    • 意識してセルフコンパッションを使えた記録がたまっていくほど、さらに成功率が高くなっていくことがわかっている。

 

 

というわけで、セルフコンパッション能力を鍛えるためのトレーニング例でした。全体的にみると、第三世代の認知行動療法にかなり近い感じですね。

 

 

いずれも、ここ十数年で効果がチェックされてきたものばかりなんで、取りかかりやすいとこから試してみたらいいんじゃないでしょうか。特にインターベンション・ブレスレットとか、ついネガティブな思考に巻き込まれちゃいがちな方には最適かと思います。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。