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いくら努力をしても天才には勝てない!ならば何のために努力をするのか?の科学的な回答

Practice makes

 

 努力をしても生まれつきのスーパースターには勝てない

「努力は必ず報われる」なんて言葉もありますが、ことスポーツの世界においては、努力の重要性は全体の18%ぐらいしかないらしい。

 

 

この数字は近ごろ出た論文(1)に出てたもので、過去に出た研究データを精査したメタ分析になっております。つまり、科学的な信頼性はけっこう高め。

 

 

具体的には「練習とスポーツの成果」について調べた33件のデータをまとめてまして、その結果が、

 

  • 練習の量と質は、スポーツの成果に18%しか影響しない
  • とくにプロアスリートの世界では、練習の量と質は1%の影響しかない

 

って感じだったんですな。つまり、2人のプロサッカー選手がいたとして、両者の優劣はほとんど練習では決まらないんだ、と。なんともやるせない結論になっております。

 

 

研究者いわく、

 

練習は大事だ。しかし、生まれつきのスーパースターと平均的な人の差を埋めるのは難しい。

 

とのこと。では、練習のほかに何が優劣を決めるのかというと、

 

  • 性格(特に忍耐力)
  • 生まれつきのケガのしやすさ
  • 生まれつきのプレッシャーへの強さ
  • 生まれつきの心肺機能
  • 筋肉のつきやすさ
  • 身長
  • 競技を楽しめる能力

 

といったところ。ほとんどが「生まれつき」の要素ばっかですね。トホホ。

 



努力や練習は、過去の自分よりも向上させるために行うべし

もちろん今回のデータはスポーツだけですが、実は同じ研究チームが2014年にも似たような調査をしてまして、やはり「勉強や音楽も練習量とはほぼ関係がない!」って結論を出しております。とにかく練習の影響力ってのは、全体的に低いみたい。

 

 

ただし、ここでひとつ注意点を。

 

ひとつ重要な点は、この研究は集団のなかでの分散を見ているところだ。個人にとって練習がムダだと言っているわけではない。誰でも練習をすれば上手くなる。ほぼすべて分野において、練習によりパフォーマンスが向上するのは間違いない。

 

とのこと。あくまで「練習だけで他人よりも秀でるのは無理!」って話でして、「練習なんか無意味!」って意味ではないのでご注意ください。

 

 

つまり、このデータから教訓を得るとするならば、

 

  • 練習は過去の自分より良くなることだけを目的に行うべし!
  • どうしても他人よりも優れたいなら、練習に時間を使うよりも、自分が勝てそうな集団に身を置くほうが効率はいい!

 

ってことでしょうか。前向きなのか後ろ向きなのかよくわかりませんが(笑)

 

 

ちなみに、個人的には、生活の虚無感を克服するために「練習」を使ってる感じ。以前に、科学的に最も正しいモチベーションアップの方法は、ウソでもいいから前に進んでる感じを作ることだと書きましたけども、その延長線上にある発想です。

 

 

要するに、何かを練習してれば前に進む感覚が得られるんで、とりあえず楽しい気分になってくるんですよね。これまた前向きなのか後ろ向きなのかよくわかりませんが(笑)

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。