宗教を信じられないなら科学を信じて幸福になればいいじゃない
宗教は体にいいが、宗教は信じられない問題
「宗教は体に良い!」ってデータは昔から山のようにありまして、ブ厚い専門書も発売されているぐらい、心理学では定番のテーマだったりします。多くのデータで、信心深い人は長生きしやすいって傾向が出てるですよね。
宗教が体に良い理由はまだよくわかってませんが、
- 信心のおかげでストレスが減る
- 親密な人間関係をキープしやすい
ってあたりが大きそうな感じ。実際、宗教に入ると幸福度が上がる!って研究も多く、納得できるところではあります。
といっても、なんせ私は生来の不信心。スピリチュアルは大の苦手だし、何かを崇め奉るのは生理的に無理であります(仏教の教えには激しく共感してますけどね)。
となれば、私のような者が宗教の代わりを得るのは難しいのかなーと思っちゃうわけですけど、近ごろ出た論文(1)では、「宗教がダメならテクノロジーを信じればいいじゃない」と喝破していておもしろかったです。
宗教より科学を信頼したほうが幸福?
この研究は、宗教と科学に対するスタンスが、人生の満足度にどんな影響を与えるかを調べたもの。調査は2種類ありまして、まずはオランダ人を対象に、宗教心とテクノロジーへの考え方を調べたところ、
- 宗教心が厚い人は人生の満足度が高い
- 科学の進歩を信頼している人は、さらに人生の満足度が高い
って結果だったらしい。信仰心よりも科学への信頼が厚い人のほうが、幸福度が高い傾向があったわけですね。
ここでいう「科学への信頼」ってのは、「テクノロジーの進歩により、人類はより健康で幸せになり、世界がより良くなるだろう」って考え方のこと。もちろんテクノロジーが万能だって話ではなく、あくまで「科学で少しずつ世の中は向上していくんじゃない?」ぐらいの信頼感です。これなら私も共感できますねぇ。
科学への信頼は不安のバッファーになる
もうひとつの調査は世界72カ国を対象にしてまして、同じように宗教と科学への考え方をチェックしたんですね。その結果は、
- 科学への信頼が厚い人ほど人生の満足度が高い傾向があったのは69カ国
- 信仰心が厚い人ほど人生の満足度が高い傾向があったのは28カ国
って感じだったそうな。全体的に科学のほうが有利な数字が出てますね。
なんで科学を信頼すると幸福になるのかというと、「自己のコントロール感が高まるからじゃない?」と推測されております。科学のおかげで未来への見通しがよくなり、その余裕が不安のバッファーとして働くんじゃないか、と。
これはとても納得できる話で、私が科学ファンなのも、生来の不安症が原因のひとつになってますからね(笑)。オカルトのような個人の体験ではなく、データベースで指針を示してくれる科学者さんたちの努力には、つねに感謝が絶えません。
あと余談
ちなみに、「世界は良くなっている!」と言われてもイマイチ信用できない方には、ピンカー「暴力の人類史」などがオススメ。いかに人類が平和に向かっているかを痛感できる一冊になっております。
また、科学への信頼を深めたければ、リドレー「繁栄」をどうぞ。テクノロジーがいかに人類を幸福にしてきたかを検証してくれる、まことにナイスな一冊かと思います。