低温の料理を1年続けたら超健康になったぞ!という研究結果
なんといってもAGEsは体に悪い
よく「AGEsは良くないよー」 って話を書いております。
簡単におさらいすると、AGEsは糖やアミノ酸が酸化してできる物質。体内で暴れまわる作用が大きくて、体内のAGEsが多い人ほど酸化ストレスが高く(1)、糖尿病のリスクが上がり(2)、炎症が起きやすくなる(3)ことがわかっております。
AGEsは体内でも作られるんですが、より問題になるのが食事から摂取するパターン。体内のAGEsレベルは、かなり「普段からAGEsが多い食品を口にしてるかどうか?」で決まっちゃうみたいなんですな(4)。
AGEsはどうやって増えるの?
2010年のレビュー論文(5)によれば、体内のAGEsが増えるメインの原因は、
- もともとAGEsが多い食品
- AGEsが増えやすい調理法(高温調理ほどAGEsは増える)
の2つ。AGEsをふくむ食品に関しては、
- 高脂肪&高タンパクな食材ほど多い
- 高炭水化物な食材は少ない
って傾向があったりします(例外もあるけど)。このへんを見ると、「肉食ダイエットとか大丈夫かな…」とか思っちゃうわけですが。
ステーキの代わりにビーフシチューを
そんな状況下、新たに「AGEsを減らす食事を1年続けたらどうなる?」って論文(1)が出まして、かなり参考になります。なにせ、これまでのAGEs研究は短期の実験しかなかったんで、1年分のデータは超貴重なんですよね。
これは50才以上の男女138人を対象にした実験で、メタボに悩んでいる人だけを選んだらしい。みんな腹回りが太く、高血圧で、中性脂肪が多く、血糖値が高い人ばっかりだったそうな。
実験では、参加者を以下の2グループにわけたみたい。
- 低AGE食:揚げ物、焼き物、グリルは避け、ボイル、シチュー、蒸し物をメインにする。AGEsが少ない食材にはこだわらない
- 一般食:低AGE食と同じものを食べるが、揚げ物やグリルを使う
要するに、口にする食材は何も変えず、調理法を変えただけでどれぐらい健康効果があるかをチェックしたわけですね。
一例をあげると、一般食グループがフライドエッグを食べるときは、低AGEグループはゆで卵を選択。一般食グループがグリルステーキを食べるときは、低AGEグループはビーフシチューを食べていたらしい。
その結果、全員のAGEsの摂取量には約3倍もの違いが出たとか。調理法を変えただけで、かなりの差が出るもんですねぇ。
低温調理にしただけで痩せた!
さて、1年後にどんな結果が出たかと言いますと、
- 低AGE食グループは…
- 一般食よりBMIが減少(31.2 vs. 33.3)
- 体重も大きく減少 (84.8kg vs. 90.7kg)
- ウエストサイズも減少(106.3 vs. 110.4 cm)
- 摂取カロリーも減少(-9%)
- 血中インスリン値が大幅に低下(-53%)
みたいな感じ。低温調理にしただけで自然と摂取カロリーが減り、体重が減ったってのがおもしろいですね。また、血中インスリン値の低下もすごくて、これにより心疾患リスクが50%低下する可能性があるとのこと。素晴らしいですね。
まとめ
というわけで、シンプルに調理法を変えただけでも、あらゆる数値が大幅に改善するよーというお話でした。
AGEsのほかにも、低温調理には発がん物質を減らす効果もありますんで、ぜひ日常的に使って欲しいところ。揚げ物やグリルなどは、全体の食事の1割以下に抑えるぐらいが良さげですねー。