体重が1kg減るごとに食欲は何キロカロリー分だけ増えるの?
超重要な体重管理システム「セットポイント」
「パレオダイエットの教科書」では、セットポイントっていう人体のシステムを重要視しております。
セットポイントは体重を一定に保つためのメカニズムで、
- カロリーを減らす
- 体重が減る
- セットポイント発動!
- 「食欲が増す」または「代謝が下がる」
- 体重がもとに戻る!
みたいな流れで動作してるんですな。このシステムが壊れちゃうと、人間の体は「肥満」か「痩せすぎ」の状態になっていくって話でした。
セットポイントの具体的な影響力とは?
で、ここで気になるのが、「セットポイントの影響力ってどれぐらい?」ってところです。果たして、どこまで摂取カロリーが減った段階で空腹感はアップするのか?って問題ですね。
ダイエッターにはかなり大事なポイントですけども、この点について、近ごろ米国立衛生研究所がナイスな研究(1)を行っておりました。
これは糖尿病に悩む患者さん242人を対象にした調査でして、全体を2つのグループにわけたんですね。
- カナグリフロジン(Canagliflozin)という糖尿病の治療薬を飲む
- ニセの処方薬を飲んでもらう(Placebo)
カナグリフロジンは尿からグルコースを排出させて、血糖値をコントロールするお薬。そのため、この薬を使い続けると、だいたい1日360kcalが自動的に減るんですよ。強制的にマイナス350kcalの暮らしを毎日続けたら、セットポイントがどう変わるかをチェックしたわけですな。
実験の途中でセットポイントが動作し始めた
実験は1年ほど続きまして、どんな結果が出たかといいますと、
- カナグリフロジンを飲んだグループは体重が3.5kgほど減っていた
- プラシーボグループは体重が800gだけ減っていた
みたいな感じ。当然ながら治療薬を飲んだほうが体重が減ってますが、1日にマイナス350kcalの暮らしを1年も続けたわりには微妙な変化にとどまっております。つまり、実験の途中でセットポイントが作動した可能性が大。
1kg減るごとに1日100kcalだけ食欲が増す
では、参加者たちの食欲がどう変わったかというと、こんな感じです。
薬を飲んだグループは、実験がスタートして間もなくから食欲がアップし始めて、だいたい24週間目から横ばいになってますね。この変化をざっくりと計算すると、
- 体重が1kg減るごとに、脳は1日100kcalを増やすように指示を出す!
ぐらいのイメージでしょうか。この数値だけ見ると大したことが無さそうですが、割とハードなカロリー制限をしても、1年以内には元の体重にもどっちゃう感じですかからねぇ。やっぱリバウンドって大変だなぁという感じが。
もちろん、これは肥満体型の人を対象にした実験なんで、普通体型の場合は、もう少しゆるやかな数値になる可能性は大。とはいえ、セットポイントの影響力をざっくり推定する役には立ちましょう。やっぱ脳の働きは凄いすなぁ。