原始仏教の秘法「歩行瞑想」のメリットを科学的に確かめてみたよー、という実験
「瞑想だけがマインドフルネスじゃない!」ってのはよく言われる話で、当ブログでも
- マインドフル・イーティング=ただ食事に集中しまくる方法
- マインドフル皿洗い=ただ皿洗いに意識を向け続ける方法
なんてのを紹介しております。ざっくり言えば、日常の動作はすべて瞑想トレーニングの一種として使えますよーって話ですな。
でもって、昔から「効果が高そうだよなー」と言われながらも、いまいち研究が進んでなかったのが「歩行瞑想」であります。文字どおり歩きながら行うマインドフルネスのことで、
- 「いま右足が地面から離れたな……」と意識する
- 「つま先が地面に着いた……」と意識する
- 「今度は左足が離れた……」
って感じで自分の動きにひたすら集中していくタイプのトレーニングになります。原始仏教の世界なんかでは2000年ぐらい使われてきた定番の手法ですな。
で、近ごろこの手法の効果をちゃんと調べたデータ(1)が出まして、なかなか良い感じでありました。
これはペンシルバニア州立大学の実験で、158人の学生が対象。どんなデザインかと言いますと、
- 全員のスマホに「アラートアプリ」をインストールしてもらい、1日8回ランダムなタイミングで通知を鳴らす
- 通知が鳴ったら、学生たちは「何をしていたか?」と「どれぐらいマインドフルにやってたか?」をアプリに記録する
- 最後に、その時のストレスレベルや気分を記入して終了
って感じで、普段の動作をどれぐらいマインドフルにやってるかを調べたわけっすな。
これを14日ほど続けたところ結果は予想どおりで、普段からマインドフルに活動してる人ほどストレスと不安が低い傾向があったんだそうな。研究者いわく、
マインドフルネスの状態に意識して入れる能力は、セルフコントロールと幸福度を高めるうえで非常に役立つだろう。
とのこと。マインドフルネスのスイッチを自由にオンオフできるのが大事なんだ、と。これはわたしも手に入れたい能力ですなぁ。
もっとも、これだけだと原因と結果の関係がよくわからないので、研究チームはもうひとつの実験も行なっております。こちらはどんなデザインかと言うと、
- 参加者に屋外を歩くように指示する
- その際に、屋外の光景、音、自分の感覚などに集中するように意識してもらう
って感じです。厳密な歩行瞑想とは違うものの、要は「他のことを考えずにウォーキングだけを楽しもう!」って指示をしたわけですな。
その結果もやはり予想どおりで、マインドフルに歩いた参加者はストレス、不安、鬱症状が有意に減り、一気に気分が改善したそうな。研究者いわく、
どんな運動でも、いつもより活発に行えばストレスや不安解消の効果は得られる。しかし、これをもっとマインドフルに行えば、さらに効果は倍増する。
激しいストレスを感じたら、マインドフルな動きを試して見るのも手だ。これは、激しい運動が嫌いな人は、エクササイズ全般が苦手な人にとっては非常に良い解決策になるだろう。
過去のデータではウォーキングだけでもメンタルの改善効果が出てるわけですが、ここにマインドフルの要素を組み込めば、さらに効果がブーストするんだ、と。
「歩行瞑想」まで行くとちょっとめんどうなので、歩くときは「ウォーキングだけを楽しむぞ!」と心がけるだけでも効果に違いが出てきそうであります。お試しあれー。