今週の小ネタ:社会的ヒエラルキーとIQの低下、知識がある人の性格とは?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
グループ作業でIQが下がる!
まずはバージニア工科大学の研究(1)で、「グループ作業でIQが下がる!」という恐ろしい結論になっておりました。これがどういう実験かと言いますと、
- 被験者のIQを計測する
- IQが平均126ぐらいの人たちだけで、5人ずつのグループを作ってもらう
- その後、全員に正確なIQを伝える
- 簡単な問題解決テストをグループで解いてもらう
って感じです。みんな同じぐらいのIQなんで、当然、全員が同じようにテストを解けただろうと思いきや実際はさにあらず。
- グループの内部では「IQが低いほうだ」と伝えられた人は、作業中のIQが15〜20ポイントも下がった!
って結果が出たんですな。IQの平均が126っていうと結構な頭脳の持ち主のはずですが、「このグループのなかでは下位だよ」と伝えられただけで頭が回らなくなったわけですな。
で、この実験ではfMRIで参加者の脳もチェックしたんですが、
- IQが下がった人は扁桃体が活性化してた
って傾向が出てたんだそうな。つまり「集団の中では下の方」と告げられた人は脳の感情エリアが暴走を起こし、論理的な機能が失われてしまったみたいなんですよ。うーん、恐ろしい。
ちなみに、ここでは「IQの高さ」が指標になってますけど、研究チームは「周囲の人が何を言うか」や「周囲の人の地位」などでも同じ現象が起きるだろうと推測しておられます。ヒトは社会的なヒエラルキーに弱い生き物なんで、さもありなんって感じがしますな。
にしても、人が集まれば必ずヒエラルキーは発生するんで、この問題を解決するのはかなり難しそう。ピクサー社みたいに「平等」を旨として会議するしかないんでしょうかねぇ。
知識がある人にありがちな性格とは?
お次はロンドン大学の論文(2)で、「結晶的知性を左右する性格はこれだ!」みたいな内容になっております。結晶的知性は「頭の良さ」の分類法のひとつで、超ざっくり言えば「もの知り」なことです。
これは201人の学生を対象にした調査で、まずはみんなのビッグファイブを調べたあとで、以下のような質問をぶつけたんだそうな。
- ペニシリンを発見したのは誰?
- 罪と罰の作者は?
- 南アフリカの首都は?
ごらんのとおり、いずれも一般知識を問う内容になっております。
で、どんな結果が出たかと言いますと、
- 認知機能が高い人ほど物知り(これは当たり前ですね)
- 神経症傾向が低くて内向性が高い人ほど物知り
だったんですよ。つまり、感情が安定していて内向きな人ほど物知りな傾向があるってことですな。誠実性との相関が低かったのがちょっと意外ですねぇ。
ちなみに研究チームいわく、
人生のステージが後半になるほど、結晶的知性は各自のパフォーマンスや達成レベルとの相関が高くなっていく。
とのこと。歳をとればとるほど一般的な知識が大事になって来るんだよーってことですね。私もいい歳ですので、もうちょい教養をつけねば……。