ストレス解消のために高級品を買うのは愚策!では、代わりに何を買えば心は満たされるのか?みたいな話
「お金のむだ使いはどうすればいいの?」ってのは、昔から学問の世界で大きなテーマなわけです。過去に紹介したところでは、
なんてテクニックもありますが、なかなか難しいもんです。買い物にはドーパミンを出す作用があるんで、とくにストレスを感じたときなんかは、お手軽な快楽装置としてつい使っちゃうんですよねぇ。
が、近ごろ出たデータ(1)によれば、「ストレスで買い物がしたくなったら、とりあえずいつもの日用品を買っておこう!」って結論になってておもしろかったです。
これはシカゴ大学の研究で、2133人の男女に協力をしてもらい、金銭管理アプリを通じて約200万件の商取引データを集めたもの。具体的には、クリスマス商戦のように衝動買いが増える時期と、なにもイベントがない普段の時期で、買い物の傾向がどのように変わるかをチェックしております。
でもって、さらにこのデータを全員の性格特性(ビッグファイブ)とくらべたところ、まずは以下のような傾向が出ております。
- 神経症傾向が低い人(感情が安定してる人)は、クリスマス商戦に金を使う。逆に神経症傾向が高い人(感情が不安定な人)は、クリスマスほど金を使わない
- 開放性が低い人(好奇心がない人)は、クリスマス商戦に金を使う。逆に開放性が高い人(好奇心がある人)は、クリスマスほど金を使わない
- 誠実性が低い人(不真面目な人)は、クリスマス商戦に金を使わない。逆に誠実性が高い人(まじめな人)は、クリスマスほど金を使う
ってことで、ちょっと意外な結果が出てますな。
まぁ好奇心が高い人は日常的にいろんな物を買うので、あえてクリスマスだからといって消費が激しくなるわけじゃないのかも。また誠実性については、クリスマス期は「他人のために金を使うぞ!」って気分が高まって、消費が激しくなるのかもしれませんな。
でもって、ここからが本題になりますが、やはりこの研究でも「多くの人はストレスを感じると衝動買いが増える」って傾向が出てるんですが、それと同時に、
- 意外とみんな高級品じゃなくて日用品の衝動買いが増える!
って結果もあらわれてるのがおもしろいところです。なんでも仕事のトラブルなどでストレスを感じた人ってのは、ブランドのバッグや高級な筆記用具に金を出すのではなく、トイレットペーパーや洗剤などを買ったほうが「心がやすらぐ」可能性が高いんだそうな。
研究者いわく、
苦境におちいって人生のコントロール感を失った消費者は、より機能的なものを買いに走る傾向があった。たとえばネジまわしや食器用洗剤などだ。
おそらく、これらの商品は問題解決のイメージが大きいため、私たちにコントロール感覚をあたえてくれるのだろう。
とのこと。「自己コントロール感」ってのは「トラブルをちゃんと自分で対処できてるぜ!」って感覚のことで、日々の満足度を高めるためにはかなーり重要な要素だったりします。どんな大きなトラブルが起きても、自己コントロール感覚さえあればわりと大丈夫。
もちろん自己コントロール感だけが理由ではない気もしますが、とにかく「日用品のような安物でも十分に精神の安定が得られる」ってのはナイスなポイントですな。
事実、この論文で引用されている2017年の文献(2)でも、
- 自信の喪失をリカバーするには「実用的な商品を買う」のがよい!
って結論が出てたりします。自己コントロール感を復活させるには、やはり高級なものを買うんじゃなくて、自分がいつも買ってるような商品(文房具とか歯磨き粉とか)に金を出せばいいらしいんですな。
ってことで、なんか自分じゃどうしようもないトラブルに見舞われたときは、むやみに高いものに金を出すんじゃなくて、とりあえず自分が普段使いしている日用品を買ってみるのも手。そのほうが、金をむだ使いせずに自信をとりもどせるかもしれません。