今週の小ネタ:写真と記憶、ベストな睡眠時間、夫婦仲をアップさせる要素とは?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
思い出を写真に撮ると記憶に残りやすくなるのか?問題
まずはカリフォルニア大学の研究(1)で、「ものごとを写真に撮ると記憶しやすくなるの?」って問題について調べております。どんな実験だったかというと、まず参加者にPCモニタに表示される「バーチャル美術館」で遊んでもらいまして、その際に全体を3グループにわけたんですな。
- ただ美術館の絵を見て記憶する
- 絵を写真に撮って記憶する
- スナップチャットで絵を撮影して記憶する(つまり画像がすぐに消去される)
その後、全員に記憶テストを行ったところ、以下のような結果が出ました。
- 絵を写真に撮ったグループは最大で20%ほどテストの成績が悪かった
って感じだったんですな。研究者いわく、
私たちはつい写真に撮れば出来事を記憶しやすくなると考えてしまう。しかし、実際には真逆の現象が起きる。
とのこと。これは「認知的オフローディング」と呼ばれ手間して、すごーくざっくり言えば「写真に撮ると脳が手を抜く」って現象です。「写真に撮ったから頑張らなくていいや」と脳が勝手に判断しちゃうわけですな。
もちろん「写真を撮ってはいけない」と言いたいわけではない。しかし、私たちは「写真を撮る」という行為に対してもう少しマインドフルになったほうが良さそうだ。
だそうで、「写真を撮ってるときは脳がサボりがち」って事実ぐらいは頭に入れておくと良さそう。
ベストな睡眠時間は何時間なの?問題
続いては欧州心臓病学会の調査(2)で、「ベストな睡眠時間ってどれぐらい?」って問題をあつかっております。
これは過去に行われた11件の前向きコホート研究から1,000,541人のデータを分析したメタ分析で、データの信頼性はまぁまぁ高め。その意味ではひとつのエントリにしても良かったんですけど、結論が非常に「まぁそうだよね……」って感じだったんで小ネタにしときました。
では、どのような結論だったかと言いますと、
- 睡眠は1日6〜8時間がスイートスポット!
のようになります。これよりも睡眠が少ないと心疾患で死ぬ確率が11%高くなり、これより睡眠が多くても心疾患で死ぬ確率は33%ほど上がるんだそうな。寝すぎも寝なさすぎも良くないんだってことですね。
もちろん観察研究なのであくまで傾向の話ではありますが、6〜8時間ぐらいが睡眠のスイートスポットってのは2010年の系統的レビューでも出てますし、まずはこれぐらいを狙っておくのが間違いなさげですねぇ。
夫婦がなかよくするためには家事の問題をどうすべきか?
カップルが仲良くするためには家事の分担が大事!ってのは昔から確認されてきた事実。それでは、さらに具体的に「どんな家事を分け合うのが重要なの?」ってところを調べたおもしろい研究(3)が行われておりました。
これはユタ大学のリサーチで、1999〜2006年にかけて、605組の夫婦に「いっつもどれぐらい家事を分担してますか?」や「どんな家事を分担することが多いですか?」といった質問を尋ね続けたんだそうな。
でもって、その数字を夫婦関係の満足度とくらべたところ、
- どの家事も大事だけど、もっとも重要なのは皿洗い!
って結論だったんですな。もちろん買い物や洗濯も大事なんだけど、なかでも皿洗いの相関がデカかったらしい。
データを見てますと、皿洗いを平等にわける夫婦のほうが、
- ふたりの関係性に満足している
- 夫婦げんかも少ない
って傾向が出てまして、なんともおもしろいもんです。
なんで皿洗いがここまで大事なのかは謎ですが、研究チームは「食器の洗浄や片づけは、もっとも賞賛を受けづらいタスクだからではないか?」と推測しておられます。いわれてみれば、料理や買い物よりはほめられにくいような気もしますけど、うーん、どうなんでしょうな。
そんなわけで謎が多いデータではありますが、とりあえず皿洗いの分担はきっちり決めたほうが喧嘩にならずにすみやすいのかもですね。