働き過ぎは寿命がちぢむわけですが、では「つい働きすぎちゃう」の原因はなんなの?という話
ちょっと前に「労働時間が週40時間を超すと死ぬリスクが一気に高くなる!」って話が出まして、さらには「週に30時間より多く働くと頭が悪くなるぞ!」なんてデータもあったりするわけです。
この数字はまだ確定的ではないんですけど、多くのデータは週40時間を超えて働くとヤバいかも!って傾向を示してまして、まことに嫌になっちゃうわけです。わたしの場合も、週の労働が60時間を下まわるケースはほとんどありませんからねぇ。
オーバーワークが減らない原因としては、
- 仕事の効率が多い
- ムダな仕事が多すぎる
といったあたりがパッと思い浮かぶところでしょうが、キャスビジネススクールの調査(1)は、また別な視点を提供してくれておりました。
これは500人のサラリーマンを対象にした調査で、普段の労働時間や仕事のモチベーションなどをインタビューで掘り下げまくった内容になっております。その意味でデータとしてはゆるいんですけど、まぁまぁそこは、ね、ってことで(笑)
で、すべての回答をまとめると、「ついつい働きすぎちゃう問題」を抱えた人たちには共通したポイントがありまして、
- 働きすぎの原因は知識労働のインタンジビリティだ!
ってところです。インタンジビリティ(intangibility)は直訳すると「無形性」ですが、ざっくり言えば、
- 知識って手でさわれないよね!
みたいな話になります。どういうことかと言いいますと、
- 情報をあつかう仕事は、手でさわれないので実感が生まれにくい
- 実感がないので不安になる
- 不安のせいで「もっと働かねば!」と思っちゃう
といった流れです。
たとえば刀鍛冶の職人さんだったら「今月は3本も作れば食っていけるな」といった判断がしやすいですが、コンサルティングなどは「この情報で値段分の働きをしたことになるんだろうか?」といった不確実性が生まれやすく、そのぶんだけ不安になるんだ、と。うーん、すさまじくわかるなぁ。
このほかのインタジビリティの例としては、
- 評価の軸がイマイチはっきりしない昇進システム
- どこで終えればいいのかわからない情報収集
などが挙げられておりました。知識労働の不確実性が不安を引き起こし、こいつが働きすぎを生むわけですな。
でもって、さらに悪いことに、なかには「インタンジビリティの不安」を悪用してる企業も多いんだそうな。
一部の企業は、意図的に「不安なオーバーワーカー」を雇うところもある。不安なオーバーワーカーは基本的に能力が高く、モチベーションも高いケースが多いからだ。しかし、この生産性は自身の欠点からもたらされたものに過ぎない。
働きすぎちゃう人は生産性が高いのは間違いないものの、その根っこには不安感が横たわってるので、最終的には燃え尽きてしまうケースが多いそうな。そうでしょうなぁ。
そのほか、不安なオーバーワーカーの問題点としては、
- 実は不安が原因なのに、自分では「自ら選んで働いているのだ!」と思っている
- 燃えつきた場合は「なんて自分はダメな人間なのだ!」と思いがち
- 自分が抱えてる問題点を同僚に隠しがち
などがありまして、いかにもメンタルが悪化していきそうな状態になっております。
この問題を解決するのってとても難しいんですが、とりあえずは「自分の働きすぎは不安がベースなのだ!」ってのを認めるのが第一歩。ざっくりとしたところでは、
- 「自動思考キャッチ」で日常的な不安感をつかまえる
- 「セルフコンパッション」を鍛えて不安感を解除する
って流れが効きそうな気がしております。わたしの場合は、「不安のせいで働き過ぎてる」ってのは自覚してるんで、あとはセルフコンパッションだなぁ……。