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記憶力と学習能力が激しくアップする運動法はこれだ!という実験の話

 

意味記憶をアップさせる運動法はこれだ!」って論文(R)がいい感じだったのでメモ。

 

 

運動で頭が良くなるのは常識ですが、今回のデータは、言葉や一般的な知識を覚えるシステムである「意味記憶」に的を絞った内容になっております。「数式の意味は?」とか「何年にフランス革命が起きたか?」とか、一般的な知識を覚えるには欠かせない能力っすね。

 

 

 

これはメリーランド大学の研究で、55〜85歳の男女26人が対象。どんな実験だったかと言いますと、

 

  1. まず最初の日は、全員に最大酸素摂取量の70%でエアロバイクを30分こいでもらう
  2. 運動が終わったら、意味記憶を確かめるテストをしつつ(有名人の名前を即座に判断できるか?とみたいな)、fMRIで脳の働きをチェックする
  3. また別の日は、なにも運動をせずに同じテストをする

 

といった感じになってます。つまり、この研究チームは、「30分だけちょいキツめの運動をすれば、速攻で頭が良くなるんじゃないの?」と考えたわけですねー。

 

 

でもって、結果は研究チームの仮説どおりになりまして、

 

  • 運動をしたあとは、みんな個人名をよく思い出したし、実際に脳の海馬、上前頭回、下側頭回が活性化していた!

 

って結果ことで、要するに30分の有酸素運動をすれば、その直後から記憶力がアップすることがわかったわけですねー。そう考えると、勉強の30分前にちょいキツめの運動をするのはアリかもですなぁ。

 

 

といっても、この実験だけだと「最大酸素摂取量の70%の運動ってどんな感じなの?」といった疑問が出てくるでしょう。正確な最大酸素摂取量を知ろうと思ったら、大がかりなテストをしなきゃならんですからねぇ。

 

 

ってことで、ここでは代替案を2つほどご紹介しておきます。

 

 

1.トークテスト

トークテストはもっとも手軽に運動の強度をめられる方法で、その名のとおり「エクササイズの最中にどれだけ会話ができるか?」で判断します。具体的に最大酸素摂取量とくらべるなら、

 

  • 最大酸素摂取量の70%=エクササイズ中に呼吸が荒くなって二言三言の単語が話せるぐらいのレベル
  • 最大酸素摂取量の80%=エクササイズ中に呼吸が激しくなって「はい」か「いいえ」ぐらいしか言えないレベル

 

だとお考えください。あくまでおおざっぱなテストではありますが、それなりに実際の最大酸素摂取量と相関があることがわかってますのでー。

 

 

2.RPE

 

RPEは以前にも紹介したように、「自分がどれだけツラいと感じているか?」でエクササイズの強度を判断する方法です。主観でいいの?と思われるかもですが、これまた最大酸素摂取量とは結構な相関があるんですよ。

 

 

RPEの判断法にはいくつかの種類があるんですけど、ここでは「図説・運動生理学入門」などで紹介されてる定番の手法を紹介しときます。具体的には、

 

  1. まったく物足りないレベルの運動量を「3点」ぐらいとする
  2. 全身がツラすぎてもう限界だ!と感じるレベルの運動量を「19点」ぐらいとする
  3. この採点基準で、だいたい「13点ぐらいかな〜?」と思えるレベルが最大酸素摂取量の70%にあたる

 

って感じです。運動中の感覚としては「結構キツくなってきたなぁ…。どこまで続けられるかなぁ……」ぐらい思えるようなら、最大酸素摂取量の70%に達してる可能性がかなり高いです。

 

 

そんなわけで、記憶力や学習力とブーストさせたい方は、以上の判断法を参考にしつつ30分の運動をやってみちゃいかがかと思うしだいです。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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