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「健康的な性格」とはよく言うものの、それって具体的にはどういうことなの?みたいな研究の話

 

健康的な性格ってなんだろう?」みたいな疑問について調べまくったデータ(R)がおもしろかったんでメモ。

 

 

「健康的な性格とは?」と問われれば、おそらく誰もが薄ボンヤリとしたイメージは持っているはず。なんとなく真面目なのかなーとか、感情は安定してそうだよなーとか、コミュ力ありそうだよなーとか、そんな感じっすね。これがマズローだったら「自己実現だ!」と言うかもしれないし、フランクルだったら「人生の意味だ!」と言うかもしれないしで、まぁいろんな見解があるわけです。

 

 

ならば、いろんな人の意見を聞いてみて「健康的な性格のプロトタイプを作ろうぜ!」ってのが、この研究の要点になっております。具体的には、まずビッグファイブの5つの性格特性にをそれぞれ6つのサブ特性に分類。全部で30件の性格特性をリストアップしたうえで、137人の専門家と500人強の学生に「健康的な性格に必要な特性ってどれだと思います?」と尋ねまくったんだそうな。

 

 

その結果まず何がわかったかと言いますと、

 

  • 専門家と学生の意見は驚くほど一致していた!

 

だったそうです。エキスパートも素人も「健康的な性格」についてほぼ同じような意見を持っていて、結構なレベルでコンセンサスが取れてたんだそうな。

 

 

みんなが「健康的だ!」と判断した特性は、ざっくり以下のようになります。

 

  • いろいろんま感情を受け入れることができる(開放性の一側面)
  • ポジティブな感情の総量が多い(外向性の一側面)
  • 率直に自分の意見や感情を表明できる(協調性の一側面)
  • 神経症傾向におけるあらゆる側面のスコアが低い(つまり、感情が安定しててストレスに強い)

 

というわけで、非常に納得のラインナップじゃないでしょうか。私の場合で言うと、ビッグファイブの外向性は相当に低い人間なんですけど、認知行動療法などをやってたおかげでここ十数年はポジティブな感情の総量が増えまして、その点ではだいぶ健康的になったのかもしれません。一方で「率直さ」みたいなところはイマイチ低いとこがありますんで、そこは気をつけていかんとなぁ……とか。

 

 

もっとも、専門家と素人で意見が違うところもありまして、

 

  • 素人ほど「社交性」と「刺激を求める傾向」を重視したが、専門家はこれらのポイントに重きを置かなかった

 

みたいな傾向もあったとのこと。社交性ゼロ人間な私としては、専門家が重要視してないとこに安心感をおぼえるわけですが(笑)

 

 

さらに、この研究では「これらの健康的なパーソナリティ特性って、本当に正しいの?」ってポイントも調べてまして、こんな傾向が見られております(3,000人以上の参加者からなる独立した7つのサンプルのデータを使用)。

 

  • 健康な性格特性を持つ人は、より高い自尊心、自己概念の明確さ、および楽観性のレベルが高かった
  • と同時に、衝動に抵抗する能力が高く、行動をコントロールし、注意を集中する力も高かった
  • また、攻撃性や反社会的な行動は低い傾向があった

 

ということで、予想のとおり専門家などが認めた「健康的な性格特性」を持ってる人は、やっぱり現実にも適応的な行動を取ってたらしい。そりゃそうでしょうなぁって感じの結論ですけど、あらためてデータで確認されたのは良いことですねー。

 

 

もちろん、ビッグファイブについては遺伝の影響も大きいし、どこまで後天的にアジャストできるか?ってとこはまだ議論があるわけですが、「人生の幸福感を高めやすい性格のトップ5」のような知見とも合わせて気にしておくと良さげですね。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。