ネガティブ思考は変えなくていい!ただネガティブ思考への反応を変えよう!
認知行動療法が効かないケース
「メタ認知療法のメンタル効果がハンパない!」 ってデータ(1)が出ておりました。
メタ認知療法ってのは、ネガティブな思考そのものではなくて、ネガティブ思考への対応の仕方を学んでいくテクニックのことです。たとえば「また失敗した!オレはダメ人間だ!」って思考がわいた場合に、認知行動療法などでは、
- オレはダメ人間だ!
- 過去に自分が成功した例などを思い出して、本当に自分が「つねに」ダメ人間なのかを考える
- 「たまに失敗もするが、いつもダメ人間なわけではない」という現実的な思考に修正
- メンタルが改善!
みたいな流れで治療していくわけですが、これだけでは効果が出にくい人もいるんですよね。
ネガティブ思考を上位の思考が補強し続ける
どういうことかと言うと、
- オレはダメ人間だ!
- 「ダメ人間だと思ったときは、その問題について考え抜かねばならない!」という上位の認知が発動
- ダメ人間について何度も考え続けるせいで、ネガティブな感情が増幅
- メンタルが悪化!
みたいな感じです。「ダメ人間だ!」って思考を、さらに上の「ダメ人間について考えねば!」って思考が補強し続けるので、なかなか簡単に間違った思い込みが治らないんですな。
ネガティブ思考は変えずに、ネガティブ思考への態度を変えよう!
ってことで、思考を個別に修正できないなら「思考の運用を変えようぜ!」って発想で生まれたのが、メタ認知療法であります。研究者の言葉で言うと、
何を考えるかはコントロールできない。しかし、考えたことにどう反応するかはコントロールできる。
って感じ。人間である以上ネガティブな思考や感情は絶対にわいてくるんで(じゃないとヤバい)、それに真正面から立ち向かわず、反応の仕方を変えるほうがベターなんだ、と。
メタ認知療法の代表テクニック
具体的にはこんなテクニックが使われます。
- 注意訓練法=日常で耳にするいろんな音(クーラーの音とか車のエンジン音とか)に注意を向けていくトレーニング方法。気分がへんこんだときは、注意が一点に集中しているケースが多いので、このトレーニングで注意を分散させる感覚を学ぶのが狙い。
- デタッチド・マインドフルネス=一般的なマインドフルネスは、ネガティブな感情や体験を受け入れて、そのまま味わうのが主目的。これに対してデタッチド・マインドフルネスは、自分のなかに科学者がいるようなイメージで、「ネガティブ思考は心のなかの産物であり現実とは別物」って事実を冷静に観察していく。
- 反すうの延期=1日のなかで「反すうする時間帯」をあらかじめ決めておくテクニック。「実は悩む時間を自分でコントロールできる」という感覚を自分のなかに浸透させていくのが狙い。
全体的には「自分でコントロールできるとことできないとこの区別を学ぶ」ってのがポイントでしょうか。ニーバーの祈りみたいなもんですな。
メタ認知療法で80%の鬱が寛解した
で、今回の実験は深刻な鬱病に悩む男女39名が対象。そのうち半分に10週間のメタ認知療法を受けたもらったところ、
- およそ80%の症状が寛解!
- 6カ月後のフォローアップでも再発せず!
って結果だったそうな。これは結構ハンパない成果じゃないでしょうか。
多くの参加者は、ネガティブ思考の原因を正そうとしてやってきた。しかし、私たちが行ったのは、いかに彼らの精神や思考のプロセスが動作しているかを理解してもらうことだった。
とのことで、「ネガティブ思考そのものは問題ではない!」ってのはかなり重要なポイントかと思われます。精神のプロセスを観察するだけでメンタルが治るってのはおもしろいですなぁ。