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「あと2回はダンベルを挙げられるなぁ……」ぐらいで止めたほうが筋トレははかどるのでは?説

 

筋肉は疲れ果てるまで追い込め!と言われたのはもはや昔の話。ここ数年は、もうちょいゆるくても大丈夫じゃない?って見解が次々に出てきてたりするわけです。

 

 

要するに、「もう限界だ!1ミリも筋肉を動かせない!」ってとこまでやるんじゃなくて、「あと数回はできそうだなー」ぐらいのところで止めちゃっても問題ないんじゃない?って考え方が普通になってきたわけですね。

 

 

で、新しいデータ(R)もまた似たようなポイントを調べてくれてまして、まずは結論から言っちゃうと、

 

  • 余裕を持たせたトレーニングのほうが精神的にも楽だし筋肉は増えるしで、いいことだらけなんじゃない?

 

みたいになってます。まぁこれまでも似たような研究は出てたんですが、さらに積極的に「追い込まない筋トレ」のメリットが浮かび上がってる感じですかね。

 

 

これは10人の男性(18〜30歳)を対象にしたテストで、過去にほとんどトレーニングをしてない人だけを集めたとのこと。どんなデザインの実験だったかと言いますと、

 

  1. 参加者の半分には右足だけを限界まで鍛えさせ、左足は余裕を残したところで止める
  2. 残り半分の参加者には左足だけを限界まで鍛えさせ、右足は余裕を残したところで止める

 

みたいになってます。右足と左足で違うトレーニング法を指示したわけですね。

 

 

ここで使われたトレーニング法はレッグエクステンションで、トレーニングは週に2〜3回ずつ。1RMの50〜60%ぐらいの負荷を使って、追い込むほうの足は限界までレップ数を増やし、余裕を持たせた方の足は「あと1〜2回ぐらいはできそうだなー」ってところで止めたとのこと。ただし、最終的なレップ数はどちらの脚も同じぐらいになるように調整されております。

 

 

実験期間は14週間で、それぞれのトレーニング法には、こんな違いが確認されました。

 

  • 最大筋力の変化
    • 限界までやった場合=12.68 ± 12.53%
    • 余裕を持たせた場合=15.02 ± 12.87%

 

 

  • 等尺性筋収縮の変化(止まった状態で出す筋力)
    • 限界までやった場合=13.85 ± 8.30%
    • 余裕を持たせた場合=14.96 ± 9.03%

 

  • 筋持久力の変化
    • 限界までやった場合=14.27 ± 21.11%
    • 余裕を持たせた場合=31.44 ± 35.53%

 

 

  • 筋肉量の変化(外側広筋)
    • 限界までやった場合=15.06 ± 14.20%
    • 余裕を持たせた場合=21.30 ± 16.90%

 

 

というわけで、もちろんどちらの足も発達はしてるものの、全体的に見れば「あと1〜2回の余裕を持たせた足」のほうが成長レベルが大きい印象があるわけです。

 

 

また、もうひとつ重要なこととしては、

 

  • 余裕を持たせたトレーニングは、主観的なツラさのレベルも有意に低かった(RPEを使用)

 

って傾向も出たりします。まぁ当たり前と言われればそうなんですが、気分的に楽なうえに筋肉の成長ものぞめるならいいことだらけじゃないでしょうか。

 

 

まぁ参加人数が少ない研究ですし、これをもって「追い込みは不要だ!」とは言わないのですが、

 

  • なんかうまくパフォーマンスが出ない時や、どうにも疲れが溜まってていつものようにトレーニングできない時は、とりあえず余裕を持たせたトレーニング(RPEで7〜8)ぐらいで様子を見る

 

みたいな感じで、いろんなタイプの手法を取り入れても何ら問題はないだろうなーとか思うわけです。ひとつのやり方にこだわりすぎて柔軟性をなくすと、だいたいのことは失敗に終わりますからねぇ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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