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「痩せたらリバウンドしやすくなる」問題を解決するにはこれだ!という実験のお話

 

ダイエットは痩せるのも大変だけど、いったん落ちた体重をキープするのも大変な作業。無理な減量をしたらリバウンドで大変なことになってしまうケースはよく聞くところでしょう。

 

 

リバウンドにはいくつかの原因があるんだけど、そのひとつとして良く言われるのが「代謝の低下」でしょう。基本的に体重が減ると体が作り出す熱も下がるもんでして、

 

  • だいたい体重が10%減ると総エネルギー消費は20〜25%ぐらい減り、そのうちの10〜15%は熱産生の低下が原因で起きる

 

といった傾向が確認されております。そこまで大きい割合ではないものの、バカにできないレベルではありますね。

 

 

では、この問題を解決するにはどうすればいいの?ってことで、そこらへんを調べてくれた研究(R)が発表されてました。

 

 

これは38人の参加者を対象にしたテストで、年齢は60歳半ばぐらいで平均BMIが29。過去に約11kgほどのダイエットに成功した人だけを選んだらしい。

 

 

実験では全体を2つのグループに分けてまして、

 

  1. 通常プロテイングループ:タンパク質15%、糖質55%、脂質30%の食事を摂取
  2. 高プロテイングループ:タンパク質25%、糖質45%、脂質30%の食事を摂取

 

といった食事を48時間だけ続けるように指示したんだそうな。その他のルールとしては、

 

  • 食事の量に決まりはなくて、お腹がいっぱいになるまで好きなように食べていい
  • テストのあいだは寝る時間を厳密に守り、運動もしない(エネルギー消費の差を出さないため)

 

みたいになってます。その上で、全員の総エネルギー消費を測定し、睡眠代謝率、食事誘発エネルギー消費などをチェックしたら、結果はこんな感じになりました。

 

  • 高プロテイングループは、通常プロテイングループよりも安静時のエネルギー消費量が大きかった
  • エネルギー消費量を予測エネルギー消費量と比較したところ、通常プロテイングループは、予測よりも低かった(通常レベルのタンパク質だと代謝が低下するからだと考えられる)
  • 高プロテイングループは、カロリー摂取量は同じだったにもかかわらず、通常プロテイングループより1日120kcalほど消費カロリーが多かった

 

ってことで、同じ量の食事を食べたとしても、タンパク質の割合を増やすことで1日120kcalものアドバンテージを得られるかも知んないらしい。48時間の実験なんで長期的な効果はわからないものの、この状態が続けば体重減少につながる可能性はあるだろうなーって感じですね。

 

 

実際、高タンパクがエネルギー消費の維持するため役立つって話は昔からありまして、具体的には「体重1kgあたり1.2gのタンパク質を摂ってれば、総エネルギー消費は落ちにくくなるよー」なんてデータ(R)があったりもします。その点では、ダイエットのせいでエネルギー消費が落ちるのが嫌なら高タンパク食にしておこう!とは言えるかも。

 

 

ってことで話をまとめると、

 

  • タンパク質と糖質の比率を10%ほどタンパク質寄りに増やすと、ダイエットによる総エネルギーの減少を相殺し、長期的な体重の維持に役立つ可能性がある
  • 総エネルギーの減少を相殺するためには、おそらく体重1kgあたり1.2〜1.6 gのタンパク質が閾値になりそうな感じがする

 

のようになりますね。まぁめんどうなことを考えたくなければ、「体型を維持したければ体重1kgあたり1.2〜1.6 gのタンパク質だ!」ぐらいに覚えておけば良さげです。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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