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たった10日運動をサボるだけでも脳の血流は激減するぞ!というイヤーな研究の話

  

運動で頭が良くなる!ってのはもはや言うまでもない話。ただし、「いったん運動を止めたらどれぐらいで効果がなくなっちゃうのか?」」ってのはまだよくわかってなかったりします。

 

 

そこでメリーランド大学などが行った研究(R)は、「運動をやめたら何日ぐらいで脳への影響は消えるのか?」って問題を調べてくれておりました。

 

 

これは12人のアスリート(年齢は50〜80さい)を対象にした調査で、持久系トレーニングの経験が15年以上ある人だけを選んだとのこと。みんな平均で週に60km近く走ってたそうで、なかなかの心肺機能オバケぞろいですね。長いあいだエクササイズを続けている人でも運動を止めたら脳には良くないのか?ってのが本研究のポイントになっております。

 

 

で、研究ではみんなに「10日間だけ絶対に運動をしないでください!」と指示し、そのうえでみんなの脳の血流をチェックしたそうな。結果、3人がなんらかのトラブルにより試験から脱落しまして、最終的には9人が残ったとのこと。だいぶ少ないサンプルになっちゃいましたが、まぁ仕方ないっすね。

 

 

さて、その結果がどうだったかと言いますと、

 

  • 8つの異なる脳のエリアの局所的な血流が低下していた(デフォルトモードネットワークを形成する脳のエリア)
  • なかでも海馬の血流が大幅に低下していた
  • ただし、認知機能については低下が見られなかった

 

だったそうです。デフォルトモードネットワークってのは心をボーッとさまよわせているときに活性化されるエリアで創造性などに関わっております。年をとったり認知症にかかったりすると、このデフォルトモードネットワークの切り替えがうまく機能しなくなる傾向がありまして、ここの血流が下がるってのはやや怖い話なんすよね。

 

 

また、周知のとおり海馬は記憶の形成、保存、検索に欠かせない部位でして、定期的に有酸素運動をしてる人はこのエリアも大きいことがわかってたりします。今回の実験で確認されたのはあくまで血流の減少だけだし認知機能も下がりませんでしたけど、週に最低でも4時間の運動を15年続けてるような人でも、たった10日で大幅な変化が出たってのはちょっと怖い感じっすね。1ヶ月も運動をやめたらひょっとして……と思わせるには十分の結果ではないかと。

 

 

研究チームいわく、

 

身体活動が低下すると、加齢とともに認知障害や認知症になる可能性が高くなることはわかっている。わずか10日間運動を止めただけでは認知能力が悪化するわけではないが、本研究が示唆するメッセージはシンプルだ。

 

すなわち、10日間ほど運動をやめると、私たちの脳の血流はすぐに低下する。これは心血管の健康レベルがすぐに低下してしまうのと一緒だ。

 

とのこと。とにかく有酸素運動の効果ってのはすぐに切れちゃうので、私たちは生涯にわたって体を動かし続けねばいけないのだ、と。ですよねー。

 

 

ただ、この問題については逆もまた然りで、先行研究によれば、どんなに普段エクササイズをしてない人でも、少し体を動かせばすぐに脳の血流が増強され、その効果は1日に渡って続くこともわかってたりします。そう考えると、やっぱちょっとでもいいから毎日運動はしなきゃいけませんなー。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。