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「楽観 vs 悲観」長期的に私たちを幸せにしてくれるのはどっちだ?みたいなイギリスの研究

 

楽観的な人は長生き!」とは言うものの、かといって脳内がバラ色すぎるのが良くないのも間違いない話。非現実なレベルの楽観主義者は「俺はつねに大丈夫!」と考えて運動もしないだろうし安全運転をおこたるかもしれませんしね。

 

 

が、いっぽうで極端な悲観主義もメンタルを病むだけなんで、2つのスペクトルのあいだでほどよいポイントを探すのが大事なのは、データの助けを借りずとも自明でありましょう。いわば中庸っすね。

 

 

ということで近ごろ発表された研究(R)は、「楽観主義と悲観主義の中間が一番メリットが大きいのだ!」って話になってておもしろいです。

 

 

これはロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの調査で、1,601人のイギリス人を集めて、

 

  • 生満足度のレベル
  • 心理的ストレスのレベル
  • 経済レベル
  • 楽観主義レベル

 

などをチェックしたうえで全員を18年にわたって追跡。長期的にもっとも幸福度が高いのはどんな人なのかを調べたそうな。その結果はわりとデカい数値が出てまして、

 

  • 極端な悲観主義者は長期的に幸福度が21.8%下がる
  • 極端な楽観主義者は長期的に幸福度が13.5%下がる

 

ということで、なかなかの違いが出てたりします。もちろん全員の健康や経済レベルなどは調整されてて、それでもなお同じ傾向が確認されたらしい。

 

 

研究チームの見解はこんな感じです。

 

まちがった考え方をもとにした計画はまちがった意思決定につながり、合理的で現実的な信念よりも悪い結果をもたらす。その結果、楽観主義者と悲観主義者の両方の幸福度を低下させてしまう。この問題は、なかでも雇用や貯蓄、リスクや不確実性をともなう意思決定で起きやすい。

 

楽観も悲観も現実のデータを反映していない点では同じなので、最終的にはまちがった方向に進んでしまうんだ、と。そりゃそうですよね。

 

 

さらにニュースリリースからも抜粋しとくと、

 

楽観主義者は、自分自身が他の人より新型コロナのリスクが低く、適切な予防措置を取らなくてもよいと考えるだろう。 一方で悲観的な人は、家から出ないようにしたり、子供を二度と学校に行かせないようにするかもしれない。どちらも幸福につながる適切な戦略とは言えない。

 

しかし、現実主義者は、この病気についての科学的な理解にもとづき、慎重にリスクを取る。

 

みたいになります。楽観も悲観もどちらもクリティカル・シンキングの発揮には結びつかないので、最終的には中庸がベストってのはわかりやすい話っすね。

 

今回の研究は、「もっとポジティブに考ねば」などと悩みながら毎日を過ごす必要がないことを示している。

 

この結果は、一部の人には安心感を与えてくれるのではないだろうか。自分の将来について現実的に考え、エビデンスにもとづいた健全な意思決定をすれば、ポジティブ思考にこだわらなくとも幸福感は得られるのだから。

 

確かに私のように不安になりがちな人間は「もっとポジティブに!」と考えるのも難しいんで、「中間を狙え!」ってアドバイスはありがたいっすね。まぁ一方では「楽観的な方がストレスに強いから長生き」って傾向があるのも間違いないので、10ポイントスケールで中間から1〜2点ほどポジティブよりを狙うのがスイートスポットなのかもしれませんが……。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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