脳のサイズをデカくする最低ラインの運動量ってどれぐらいなの?という研究
運動で頭が良くなるよーって話を何度も書いていて、
- 運動で脳をデカくするためにはどれぐらい動けばいいのか?
- 頭を良くする物質「BDNF」の量を増やすための運動ガイドライン
- 年を取ってから運動で頭を良くするための最低ライン
- 頭が良くなる運動の条件とは?を調べたメタ分析
- 運動をサボると頭が悪くなる。10日で悪くなる
- 1回の運動をしただけでもすでに頭は良くなっている
などが代表的な例です。どうやら人間の脳は運動をした直後から機能が高まるし、逆に体を動かさないと知性は衰えていく一方みたいなんですな。
でもって新しい研究(R)は、「脳を老けさせないための運動量とは?」って問題を深掘りしてていい感じでした。歳を取るとどうしても脳が小さくなりがちなんですけど、この現象を予防するための運動量を調べてくれたわけっすね。
これはボストン大学などの研究で、フラミンガム研究っていう有名な調査から2,354人分のデータを抽出したものです。具体的にどんな調査だったかというと、
- 被験者に万歩計をわたして8日間ほど過ごしてもらい、みんなの日常的な運動量をチェックする
- 全員にMRIを行い脳がどれぐらいブ厚いかを調べる
といった感じで、日ごろの運動量と脳の状態を比べてます。そこで何がわかったかと言いますと、
- ごく軽い運動の量が1日1時間ずつ増えるごとに、脳の老化がだいたい1.1年ほど縮まる傾向がある(β estimate 0.22)
- 一般的な運動のガイドライン(週に150分のMVPA)を満たしていない人でも、1日7,500歩より多く歩く人は脳のボリュームが増え、だいたい1.4〜2.2年ほど脳が若い計算になる
- 1日に10,000歩以上歩く人は、1日5,000歩の人より激しく脳のボリュームが大きい
だったそうです。ここでいう「ごく軽い運動」ってのは1分あたり200〜1,486歩ぐらいの負荷でして、本当に普通の散歩ぐらいのレベル。これを1日1時間ほど続けると脳の老化が1年遅くなるわけですね。
研究チームいわく、
軽い運動を1時間行うごとに脳のボリュームが増える。この現象は、現在の身体活動ガイドラインを満たしていない人でも確認された。負荷が低くて手軽にできる量のエクササイズでも、脳の老化を食い止める力があるようだ。
もちろん今回の結果は、中程度から強度のエクササイズの価値を損なうものではない。この研究が示すのは、軽度のエクササイズも同程度に重要な価値を持つという点だ。特に脳への効果は非常に大きい。
とのこと。まぁ今回のは横断研究なんでそこまで厳密じゃないですし、教育レベルのように脳のボリュームに影響が大きそうな変数も調整してないんで、あくまで参考までに受け取って欲しいところですが、とりあえず1日1万歩で脳の老化が激しく予防できそうだ!と覚えとくといいんじゃないでしょうか。