年を取ると早起きになる!ってどこまで本当なの?というメタ分析
年を取ると早起きになる!なんて話がよくありまして、私より3個上の知人はまだ40代にして4時起きになったとか。なんでも、無理をしてないのに自然と目が覚めちゃうらしい。
こうなると、「年を取ると早起きに!」ってのが誰にでも起きる現象なのかが気になりますけど、新しい研究(R)はその点を調べてくれていて有用でした。
これはサニーブルック病院の研究で、過去に出た169件の睡眠リサーチから5,273人の健康な男女のデータを抽出。そのうえで、
- 総睡眠時間
- 睡眠効率
- 眠りに落ちるまでの時間
- 眠りのステージごとの睡眠時間の長さ
などが年齢ごとにどう変わるのかをチェックしたメタ分析になっております。なかなか信頼性が高くていいんじゃないでしょうか。
では、まず結論から引用するとこんな感じです。
私たちの多くは、年を取ると睡眠時間が短くなると考えている。しかしこの研究でわかったのは、大半の人は、年齢を重ねても劇的に睡眠時間が変わるわけではないという事実だ。
健康な男女の場合、深い睡眠と浅い睡眠の比率は人生をとおして変わらない。この点もおもしろい発見だ。
とのこと。一般に言われることとは違って、年を取ってもそんなに睡眠の量や質は変わらないんだ、と。これは意外ですなぁ。
具体的な数値で言うと、
- 10歳年を取ると
- 睡眠時間が10.1分ずつ減る
- 睡眠効率が2.1%を減る
- 入眠までに必要な時間が1.1分増える
- レム睡眠などの割合は0〜0.1%しか変わらない
みたいになってまして、確かにたいした違いが出てませんねー。ちょいビックリ。
研究チームいわく、
睡眠の質を維持するのに必要な脳の回路は、年を取るにつれて変化していく。そのために、若い頃と同じレベルの睡眠がとれなくなる。
とのこと。ちょっとだけとはいえ、10歳ごとに微妙に睡眠の量と質が下がっていくのは、脳の回路の変化が大きいんじゃないか、と。
平均すると50歳あたりから睡眠の質は男女を問わず下がりはじめる傾向があって、特に女性は65歳を過ぎたあたりから眠りに入るのが難しくなってくみたい。まぁそれでも平均で12分ほど時間が延びるぐらいなんで、そこまでの差じゃないんですが。
では、なぜ世の人には「年を取ると早起きに」ってイメージがあるのかと言いますと、
私たちは、年を取ると睡眠への悪影響がある病気にかかりやすくなる。また、配偶者や知人の病気や死といった要素も関係しているかもしれない。
と推測しておられます。年を取ると病菌かかりやすくなるほか、様々な人生の変化も起きるため、結果として睡眠に悪影響が出るんじゃないかってことですね。
まぁこのようの考え方はまだ確定的じゃなくて、たとえば「年を取ると必要なエネルギーが減るから睡眠時間も短くて済むのでは?」みたいな説もありますんで、今後の調査ではいろいろ変わってくるかも。とりあえず、現時点でのポイントとしては、
- 健康体であれば、年を取っても睡眠にはそんな変化がないのかも?
- 逆に睡眠パターンが大きく変わったようなら、なんらかの問題があるのかも?
といった可能性を押さえておくのが良さそうっすねー。