脳機能の低下はサプリで食い止められるか?に関する現時点での結論とは?
脳の衰えを防ぐには十分な食事が大事なのは間違いない話で、
なんてエントリをこのブログでもよく書いてまいりました。脳が正しく働くには栄養が必須だよ!という実に当たり前の話です。
となると、「サプリメントでも脳の劣化を食い止められるのでは?」って疑問がわくわけですが、毎度おなじみコクラン共同計画さんからかなり良いデータ(R)が出てましたんで、軽くまとめときます。ちなみにコクラン共同計画ってのは、過去のいろんなデータをメタ分析しまくってる素晴らしい団体です。
で、こいつは「サプリと痴呆症」に関する先行研究から、質が高めな28件を抜きだして約83,000人分のデータをメタ分析したもの。たとえば、ベータカロチン、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンD、カルシウム、亜鉛、銅、セレンなどの各種ビタミンやミネラルで痴呆症は予防できるかどうかをまとめてチェックしてくれております。
この研究ではタイムフレームを2つに区切ってまして、
- サプリを3〜12カ月飲み続けた場合
- サプリを10年以上飲み続けた場合
のパターンで認知症に効くかどうかを調べてます。それでどんな結論が出たかと言いますと、
- なんせ全体的なデータの質が低いんでちゃんとしたことは言えない
- ただ、とりあえずビタミンやミネラルのサプリが認知症に効くことを示す証拠はなかったよ!
だったそうな。とりあえず脳の劣化をふせぐためにサプリが効く可能性は低いんじゃないか、と。
もっとも、とてもよわーい相関が見つかったものもありまして、
- ベータカロチン、ビタミンC、ビタミンEみたいに抗酸化力が強いものは脳の予防に効く……かも?
といった傾向も出てたりはします。とはいえ、他方でベータカロチンは早死にとの相関が確認されてたり、ビタミンCやEも加齢黄斑変性リスクが疑われてたりするんで、あいまいな効果を狙って飲むのはどうかなーとは思いますけども。
ってことで、どうも脳の衰えを防ぐためにサプリを使う意味はあんまなさそうですが、
- とはいえ、全体的な実験は認知機能をメインに調べてなかったりするんで、どこまで信じていいかはよくわからない
- 脳機能の変化には運動やら社交生活やら趣味やら、あまりに多くの要素がからむので、ハッキリした結論を出すのはわりと無理ゲーかも
という気もしております。なので、もしかしたらこれから「認知症を防ぐサプリが見つかったよ!」みたいな展開になるかも?ぐらいの感じ。
まぁとりあえず現時点ではサプリはムダに終わりそうですし、リスクもあわせて考えれば、何も使わないほうが無難でしょう(もちろん普段の食事で栄養が足りてない人は別として)。どうぞよしなに。