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運動で幸せになるためには「きつめの活動を1日12分」が最低ラインかも?

 

運動がメンタルに良いって話は死ぬほど書いてまして、

 

 

みたいな話があるわけです。これらのデータを見てると、たぶん軽い運動をほんのちょっとするだけもメンタルは改善するっぽいんですけど、よくわかってない問題として、

 

  • ガッツリと運動で幸福感をキープするにはどれぐらいの運動が必要なの?

 

みたいなとこはまだわかってなかったりします。おそらくウォーキングレベルの軽い運動でも意味はあるんだけど、その効果を持続させるにはどうすべきか? ってポイントですね。

 

 

ってことで、近ごろスウェーデンから「幸福を維持するための最適な運動量とは?」を調べる研究(R)が発表されていて、非常にためになりました。

 

 

参加者は18歳以上の男女662人で、これまでに1日30分以上の運動をしてきた人を外して、ほとんど体を動かさない人をメインに選んだらしい。まぁ現代では1日30分も動いてる人ってそういないですからね。

 

 

実験では全員に活動量計をわたして、1週間つけっぱなしで生活するように指示。そのうえで、

 

  • みんなの運動レベル
  • 睡眠時間や睡眠の質
  • メンタルの状態(不安とか燃え尽き症候群とか)

 

みたいなポイントもチェックしてすべてのデータを比べたんだそうな。

 

 

で、まずみんなが1日にどんな風に時間を使っていたかを見てみると、

 

  • わりと厳しめの活動=1日平均62分(4%)
  • 軽い活動=1日平均326分(23%)
  • 座っている時間=1日平均577分(40%)
  • 睡眠時間=1日平均475分(33%)

 

みたいな割合になってます。日本人と比べるとみんなちゃんと寝てますが、やっぱ座りっぱなしの時間が長いっすね。活動時間の割合は、日本でも近い人が多いかも知んないっすな。

 

 

さて、このデータをふまえたうえで、どんなことがわかったかというと以下のようになります。

 

  • 「わりと厳しめの活動」と幸福感には、ガッツリとした関係性が見られた
  • ただし、「わりと厳しめの活動」とネガティブ感情(不安とかストレスとか)には相関が見られなかった
  • その他、軽い活動、座っている時間もメンタルとの関係が見られなかった

 

みたいになってます。ここでいう「わりと厳しめの活動」ってのは、いわゆるMVPAのことで、早歩きからランニングぐらいの負荷の運動になります。HIITぐらい高強度な活動はふくまれてないんで、そこも気になるとこですね。

 

 

でもって、さらにこの研究では、MVPAの時間と幸福度の関係をもっと深掘りしてまして、こんな結論も出してくれてます。

 

  • 1日のMVPAが12分を下回ると、幸福感がかなり下がる

 

ってことで、このデータを見るかぎりは「ちょい負荷が高い運動を最低でも12分はやるべし!」みたいな結論になりそうであります。

 

 

まー過去には「ウォーキングでもメンタルは改善する」って話もよく見てきたんで、今回のデータで「軽い活動にはメンタルヘルスとの相関なし」って結果が出たのはちょっと意外っすね。もしかしたら、ウォーキングぐらいだと運動の幸福効果をずーっと保つのは難しいって話なのかもですが、そこらへんはまだよくわかりませんね。

 

 

とはいえ、「1日に12分以上のMVPA」って基準はわかりやすいんで、ここらへんを目標にしてみるのもいいかもしれませんね。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。