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今週末の小ネタ:ブルーライトをカットして仕事ができる人間に?、スピリチュアル体験の重要性、加齢と学習意欲

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

ブルーライトカット眼鏡で仕事の質が上がる!

ちょっと前に「オレンジの眼鏡で睡眠の質が上がる!」なんて研究がありました。夜中のブルーライトをオレンジグラスで減らすと、それだけよく眠れるようになるよーって話ですね。

 

 

新しいデータ(R)も似たような話で、「ブルーライトカット眼鏡で仕事のパフォーマンスは上がるか?」を調べてくれております。夜のブルーライトを減らせば体内時計が整い、そのぶん翌日の仕事がはかどるのではないか?って考え方ですね。

 

 

調査の参加者は63人の会社経営者と67人のコールセンター担当者で、「ブルーライトカットメガネ」と「普通のメガネ」のどちらかをかけて過ごすようにランダムに割り当て。同時に全員のパフォーマンスをチェックしたところ、

 

  • 経営者がブルーライトカットメガネをかけた週は………
    • 睡眠時間が6%長くなった!
    • 睡眠の質が11%向上した!
    • タスクパフォーマンスが9%向上!

 

  • コールセンター担当者がブルーライトカットメガネをかけた週は………
    • 睡眠時間が5%長くなった!
    • 睡眠の質が14%改善!
    • タスクパフォーマンスが7%向上!

 

ということで全体的にかなり良い成果が出たらしい。9%もパフォーマンスが上がるなら、これは試すしかない感じですわな。

 

 

そのほかにも、ほとんどの参加者は仕事へのやる気が8.5%増え、同僚を手伝う行動も17%増加。一方でネガティブな行動(サボりとか、同僚への嫌味とか)は12%も減少したそうな。体内時計が整ったおかげで、みんなポジティブになったんですかね。

 

 

チームいわく、

 

これらの成果のすべては、単にブルーライトをカットするメガネをかけただけで改善された。

 

とのことなんで、手軽な介入としてお試しいただくといいんじゃないでしょうか。

 

 

 

スピリチュアルな体験が幸福度を爆上げする!……かも

「スピリチュアルな体験で幸福度が上がる!」みたいなデータ(R)が発表されておりました。

 

 

これは2,795人の男女を対象にした調査で、以下のポイントをチェックしてます。

 

  • みんながどれぐらいポジティブな感情とネガティブな感情を味わっているか?
  • 日ごろからスピリチュアルな体験をどれぐらいしているか?

 

「スピリチュアルな体験」はおおまかに「神様関連」と「超越関連」の2つにわかれてて、

 

  • 神様関連=「私は神の愛を直接感じている」みたいな文章に賛成するかどうかでチェック
  • 超越関連=「私は深い平安や調和を感じる」みたいな文章に賛成するかどうかでチェック

 

って感じで調べてます。日本人だとガチで神を信じるような人は少ないでしょうが、「平穏な感覚」とか「なんかみんなとつながってるなー」みたいな感覚なら納得できる人も多いんじゃないでしょうか。瞑想とかやってると、割とおなじみの感覚と申しますか。

 

 

で、結果はチームの予想どおりでして、

 

  • スピリチュアルな体験が多い人ほどストレスが低く、抑うつ症状も少なく、幸福度も高い(スピリチュアルな経験の体験回数が、幸福度の高さと相関してた)

 

って感じになってます。あくまで観察研究ではありますが、過去にも「宗教を信じる人は長生き」みたいな話もありましたし、やっぱスピリチュアルな感覚はいいんだろうなーって印象っすね。

 

 

まぁ本邦では「スピリチュアル」には胡散臭いイメージが強いですが、「引き寄せが!」とか「惑星の影響が!」とか言い出さずに「深い平穏」とか「自然への畏敬の念」ぐらいに抑えておく限りは、心身の増強に役立ってよろしいのではないでしょうか。

 

 

 

歳を取るとなぜ新しいことに挑まなくなるのか?問題

歳をとっても脳をシャープに保つには、生涯にわたって新たな学習を続ける態度が必須!」ってのは間違いないんだけど、一方では加齢とともに学習意欲が低下しがちなのも確かであります。加齢とともに、新しいことを学ぶ意欲を失う人って多いんですよね。

 

 

こういう現象が起きる理由はよくわかってないんですけど、MITのチームが「学習意欲に関わる脳回路を見つけたぞ!」って報告(R)をしておられました。

 

 

といってもこれはまだマウス実験の段階でして、ざっと結論から言っちゃうと、

 

  • 線条体に広がる「ストリオソーム」と呼ばれる細胞が学習意欲を左右してるのでは?

 

みたいな話です。ストリオソームは昔から「謎の神経細胞」と言われてきたんですが、ここ最近の研究で「どれぐらいの報酬を得られるかを判断してるのでは?」みたいな話になってきたんですよ。実際、実験では高齢マウスのストリオソームを刺激したら学習への意欲を高まったそうで、どうも新たなことへのモチベーションを大きく左右してるんじゃないのか、と。

 

 

研究チームいわく、

 

生き残るためには学習能力が欠かせない。何が自分にとって良いことで、何が悪いことなのかを学び続ける必要があるのだ。

 

しかし、ある人(この場合はマウスだが)は、選択のコストを打ち消すほど報酬を高く評価し、別の人は報酬を避けてでもコストを回避したいと考える。その結果、ある者は報酬によって動機づけられ、別の者はコストによって動機づけられるかもしれない。

 

とのこと。ちょいわかりにくいですが、ストリオソームは行動のコストとベネフィットを判断する能力に関わっており、歳を取るとその判断がゆがんでいくせいで新たな学習へのモチベーションが下がるのではないか?って話っすね。

 

 

まー、この成果をすぐ現実に活かすのは難しいんですけど、歳を取ったら「自分のコストやリスクの感覚はおかしくなってないか?」と自問してみるのは良いことかも知んないっすな。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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